パパイア

パパイア：熱帯の果実から野菜まで、その多様な魅力

パパイア(学名: Carica papaya)は、パパイア科パパイア属に属する常緑小高木、そしてその果実を指します。別名としてチチウリ、モッカなど様々な呼び名があり、園芸分野と農業分野では呼称が微妙に異なる点が興味深いところです。

パパイアの起源と生育環境

メキシコ南部から西インド諸島が原産とされ、16世紀初頭にヨーロッパ人によって発見されました。現在では多くの熱帯・亜[[熱帯]]地域で広く栽培されており、日本でも九州地方では露地栽培、沖縄などでは庭先での自生が見られます。

パパイアは、耐寒性が低く、生育適温は25～30℃とされています。10℃を下回ると生育が止まり、寒さには非常に弱い性質です。

パパイアの形態

草本性の常緑小高木で、高さが10メートルに達するものもありますが、矮性種では2～3メートル程度です。茎は柔らかく、台風などによって容易に倒れてしまうため、木質化が進んでいないことから、一部の文献では「草本類」として分類されていることもあります。

茎の先端には長い葉柄を持つ大きな葉が集中しており、葉質は薄くて柔らかく、掌状で大きな切れ込みが入っています。葉が落ちた後には、幹に大きな葉痕が残ります。花は茎の先端付近、葉の下側に咲き、通常は雌雄異株で、雄花は長い花序となって垂れ下がります。花の色は黄緑色で、目立ちにくいのが特徴です。

果実は、長さ10センチ[[メートル]]から30センチ[[メートル]]にも及びますが、一般的に流通しているものは15～20センチ[[メートル]]程度のものが多く見られます。

パパイアの生産

日本へはタイやフィリピンなどから多く輸入されています。国内では18世紀から沖縄で栽培されており、2016年の生産量は487トン、そのうち鹿児島県が約7割を占めています。沖縄では繁殖力が強く、台風にも弱いため、産業として確立するには課題が多いとされています。そのため、生産効率の高いソロ（両性花）種が多く利用されており、国内で栽培されているパパイアの多くがソロ種です。

パパイアの栽培

パパイアの種子は容易に発芽するため、観葉植物としても楽しむことができます。日本では5月頃が播種適期です。苗木からでも実生苗からでも結実まで1～2年かかります。雌雄異株であるため、結実させるには複数株の栽培が望ましいですが、温度によっては両性花がつき、1株でも結実する可能性があります。近年は樹高1メートル程度の矮性種も開発されているため、鉢植えでの栽培も可能です。

病害虫としてはハダニや線虫が挙げられますが、薬剤に弱いため、薬剤散布は避けるべきです。現在主流のFI両性品種では、同一品種内に両性花と雌性花が混在し、単体栽培でも自家受粉や単為結果によって着果します。

2012年頃より、日本本土での野菜としての栽培が盛んになり始めました。獣害や病害虫が少ないこと、酵素成分に注目が集まったことが要因です。家庭菜園や営利栽培向けの苗木の販売も増加し、春植え秋収穫の作型が普及しています。特に青パパイヤは、その珍しさから地域活性化にも貢献しています。

パパイアの利用

パパイアは、果物、野菜、そしてその他様々な用途に利用されます。

果物としての利用

熟した果実は黄色く、甘く独特の風味があります。黒い種子は取り除いて、果肉を味わいます。レモン汁をかけたり、ドライフルーツに加工したり、台湾ではパパイア牛乳として楽しまれたりしています。香港や中国南部では、独特な料理にも用いられています。種子はワサビに似た辛みがあります。

熟したパパイアには、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、β-クリプトキサンチンなどの栄養素が豊富に含まれています。

野菜としての利用

未熟果は青パパイヤと呼ばれ、野菜として利用されます。パパインという酵素を含み、肉を柔らかくしたり、消化を助ける働きがあります。炒め物、サラダ、天ぷら、漬物など、様々な料理に用いられます。沖縄ではチャンプルーなど、タイではソムタムなど、地域独特の料理があります。

その他の利用

葉は健康茶として、乾燥した葉や茎はウサギのおやつとして、パパイン酵素は食肉軟化剤や消化促進剤として利用されます。また、洗顔料や薬用としても利用され、様々な民間療法にも用いられています。デング熱、各種がん、マラリア、消化促進などへの効果が研究されていますが、科学的に証明されていないものもあります。その他、にきび薬、食欲増進、月経痛緩和などにも効果があるとする研究報告があります。

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