パピルサグ

パピルサグ：古代メソポタミアの知恵と豊穣の神

パピルサグ（Pabilsag）は、古代メソポタミア、特にララク市で崇拝された都市神です。その名は「射手」を意味するとも解釈されますが、その語源には諸説存在します。エンリルの子とされ、豊穣と狩猟を司る神として、古代メソポタミアの人々の生活に深く関わっていました。

神話における役割

パピルサグは、シュメル語版の洪水伝説や、自身のニップル詣でに関する記述など、様々な文献に登場します。特に、女神ニンイシンナの配偶神としての側面が強調されており、神聖な夫婦として崇拝されていました。しかし、その具体的な姿や神話における詳細な役割については、まだ不明な点が多く残されています。

ギルタブルルとの違い

ギルガメシュ叙事詩やエヌマ・エリシュに登場する合成獣ギルタブルルと混同されることがありますが、パピルサグはこれとは異なる存在です。ギルタブルルは神話的な怪物であり、パピルサグは都市の守護神としての役割を持っていました。

神格の変化

パピルサグ崇拝は、初期王朝時代にまで遡ることができます。しかし、その姿形や神格は時代とともに変化していきました。古バビロニア時代には、戦いの神であるニンウルタ（ニヌルタ）・ニンギルスと同一視されるようになります。さらに、ヘレニズム期には、蠍の尾を持つ半人半馬の姿で表現されるようになり、ギリシア神話のケンタウロスの原型の一つであるという説も存在します。このように、パピルサグは時代や文化の影響を受けながら、その姿を変えていったのです。

星座との関連

パピルサグは、メソポタミアの星座の一つともなっており、いて座の元になったと考えられています。これは、パピルサグが射手であるという側面と関連していると考えられます。古代メソポタミアの人々は、星空に神々の姿を重ね、日々の生活や信仰に結び付けていたのです。

パピルサグは、古代メソポタミアの神話や文化を理解する上で重要な神です。その起源や役割、神格の変化を追うことで、古代メソポタミアの人々の世界観や信仰をより深く知ることができるでしょう。

参考文献

「シュメル神話の世界　粘土板に刻まれた最古のロマン」　中公新書
「筑摩世界文学大系1　古代オリエント集」筑摩書房
「古代メソポタミアにおける混成獣グループ（ティアーマトの被造物）マルドゥク神学構築と転用の為の戦略的手段」　東京大学宗教学年報 (16), 73-95, 1998
「Gods,Demons and Symbols of ancient mesopotamia」University of Texas Press
Ancient Mesopotamian Gods and Goddesses http://oracc.museum.upenn.edu/amgg/listofdeities/pabilsag/

関連項目

ギルタブルル

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