パブリックドメインソフトウェア

パブリックドメインソフトウェア：自由な利用を許されたソフトウェア

パブリックドメインソフトウェア（PDS）とは、著作権者がその権利を放棄した、いわば著作権フリーのソフトウェアです。インターネットを通じて広く配布されており、利用者は一切の制限なく使用できます。ソースコードを入手できる場合は、自由に改変して再配布することも可能です。

米国と日本の著作権法の違い

PDSの理解には、アメリカ合衆国と日本の著作権法の違いを理解することが重要です。アメリカでは、著作権は主に著作財産権（作品を利用・複製する権利など）に焦点を当てています。一方、日本では、財産権に加え、著作者の人格権（氏名表示権や同一性保持権など）も保護されており、これは放棄できません。

この違いから、日本では「厳密な意味でのPDSは存在し得ない」という誤解が生じることがありました。アメリカでは著作権の放棄だけでPDSとみなされますが、日本では人格権の問題が絡むためです。そのため、日本のPDSとされるソフトウェアは、しばしば『将来にわたって著作権（及び著作者人格権）を主張しないことを宣言する』といった形で配布されています。

フリーウェアとの違い

特に1990年以前のパソコン通信時代には、PDSとフリーウェアが混同されることもありました。当時、フリーソフトウェアを指す明確な用語がなかったためです。また、単に著作者が無許可利用を容認しているだけのソフトウェアを、PDSと誤解するケースもありました。PDSは、著作権が完全に放棄されている点が、フリーウェアと決定的に異なります。

パブリックドメインを宣言するライセンス

著作権を放棄し、作品をパブリックドメインとすることを明確に示すライセンスが存在します。代表的な例として、以下のものがあります。

Creative Commons 0 (CC0): クリエイティブ・コモンズが提供する、著作権放棄を宣言するためのツールです。ライセンスというよりは、ツールと位置付けられています。
Unlicense: 利用条件を一切定めないライセンスです。
WTFPL (Do What the Fuck You Want to Public License): 名前の通り、自由に利用できることを宣言するライセンスです。
NYSL (煮るなり焼くなり好きにしろライセンス): 日本語で書かれた、利用条件を一切定めないライセンスです。

これらのライセンスを使用することで、ソフトウェアがPDSであることを明確に表明できます。

著作権を放棄しない場合

PDSではなく、著作権を保持したままソフトウェアを配布する場合は、作者が独自に作成したライセンス、またはGPLやBSDライセンスなどの、広く認知されたフリーソフトウェアライセンスやオープンソースライセンスを利用することが一般的です。これらのライセンスでは、著作権は放棄されませんが、利用条件を定めることで、一定の範囲でソフトウェアの利用を許可します。

まとめ

PDSは、自由に利用・改変・配布できるソフトウェアという点で、非常に便利な存在です。しかし、その法的背景や、フリーウェアとの違い、そして様々なライセンスの存在などを理解することで、より安全かつ適切にPDSを利用することができるでしょう。 アメリカと日本の著作権法の違いを理解することは、特に重要です。

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