パリミュチュエル方式

パリミュチュエル方式とは

パリミュチュエル方式（Parimutuel betting）は、公営競技において賞金を決定する一つの手法です。この方式は、投票券の売上金をプールし、そこから主催者が取り分を差し引いた残額を当選者に分配するという形で運営されます。

概要

この方式では、まず購入者が自分の予想に基づいて券を購入しますが、この時点では配当はまだ決まっていません。すべての購入額がプールに集められ、その後、競技や抽選が行われて当選者が確定します。競技の結果が出た後、プールされた金額から主催者の取り分である控除率が差し引かれ、その残りが当選券に配分されます。これにより、売上金に応じて主催者収入は増加しますが、例外的に売上が高くても主催者の取り分が減少することもあり得ます。

歴史

この方式は1867年にフランスの演出家、ジョセフ・オレールによって考案されました。彼はムーラン・ルージュの出資者でもあり、1891年にはフランスで公式に法制化されました。技術の進化により、やがてトータリゼータシステムへと発展していきました。「パリミュチュエル」という名称は、「賭け」を意味する「pari」と「相互の」を意味する「mutual」に由来しています。これは、主催者と参加者が互いに利益を分け合うという考え方を反映しています。

日本での採用

日本では1888年に横浜の外国人居留地において、初めてパリミュチュエル方式の馬券が販売されました。しかし当時は馬券そのものが非合法だったため、特別な区域での販売でした。1906年には一般の日本人向けに馬券が黙認されましたが、すぐに禁止されました。正式に馬券の発売が認められたのは1923年です。現在、国内の公営競技においては全てこの方式が採用されており、ブックメーカー方式は認められていません。

ロッタリー方式との違い

ロッタリー方式では、購入した時点では投票券の内容が確定せず、くじ引きによって決定されます。このため、事前に予想を立てて投票するスタイルではなく、購買後に決まる形となります。明治時代にはガラ馬券という名称で馬券の一形態が存在していましたが、不正の可能性が高く、現在は見られなくなっています。

主要なパリミュチュエル方式のギャンブル

日本国内では、以下のようなギャンブルがこの方式を用いています：

• - 競馬
• - サッカー（フットボールプール、トトカルチョなど）
• - 競輪
• - 競艇
• - オートレース
• - ナンバーズやロトなどの宝くじ

また、アメリカにはメガ・ミリオンズやパワーボールといったロッタリーがあり、これらもパリミュチュエル方式に基づいています。

的中者がいない場合の取り扱い

特別払戻金

的中する者が現れない場合、全ての購入者に控除率に基づく金額が払い戻されるという制度があります。たとえば、競馬では的中者に報いることができず、控除後の金額が特別払戻金として還元されます。

繰越制度

一部のギャンブルでは、的中者がいないときや賞金が上限を超えた場合、その賞金を次回に繰り越すキャリーオーバー制度があります。これにより、次回の賞金がさらに増加することがあります。

まとめ

パリミュチュエル方式は多くの公営競技で用いられ、参加者に公平な配分を提供する一方で、開催者側にも収益をもたらす仕組みとして重要な役割を果たしています。

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