1900年4月14日から
11月12日まで、
フランスの
パリにおいて開催された
国際博覧会、通称
パリ万国博覧会(Exposition universelle de Paris 1900)は、
19世紀最後の博覧会であり新世紀の幕開けを祝うものでした。このイベントは、過去最大の4800万人が訪れるなどの注目を集め、また、
パリオリンピック(第2回
近代オリンピック)と合わせて行われました。今回の万博は
1855年以降、
パリでの
国際博覧会の第5回目でもありました。
この万博の経済面では、
くじ付きの前売り参加券が販売され、開催
予算の60%がまかなわれました。会場には、豪華な
グラン・パレと
プティ・パレが設けられ、さらにロシア皇帝ニコライ2世から寄贈された
アレクサンドル3世橋が、
セーヌ川の両岸をつなぎました。
注目を集めたのは、当時世界最大の
観覧車「グランド・ルー・ド・
パリ」であり、その高さ100メートルは訪れた人々を驚かせました。また、動く歩道や
エッフェル塔に設置された
エスカレーターが話題となり、アメリカの発明家チャールズ・シーバーガーは、
エスカレーターの普及を助ける展示を行い、1等賞を獲得しました。
この万博では、
装飾美術も大きな注目を浴びました。特に、
サミュエル・ビングが出展した
パビリオンで示された
アール・ヌーヴォーのスタイルは、この
時代の
表現として広まることとなりました。リュミエール兄弟が行う
映画上映も、訪問者に強い印象を与えました。
本展は「過去を振り返り
20世紀を展望する」というテーマのもと、多数の展示が行われました。会期中には、
サラ・ベルナールが自身の劇場で演じた演目『レグロン』や
ロイ・フラーによる
サーペンタインダンスが大好評を博しました。この万博を訪れた日本人、
夏目漱石や
川上音二郎一座は、舞台での成功を収め、特に「マダム貞奴」は高い評価を受けました。
日本はこの万博に積極的に出展し、大規模な古
美術の展示を行いましたが、文化の衝撃があったため十分な評価は得られませんでした。日本館は
法隆寺金堂を模した設計が施され、日本庭園や茶
店も設置されるなど、日本の文化を紹介する場となりました。
万博期間中、日本の酒類や紅茶も出品され、
ティーハウスで販売されることとなりました。ただし、商業
パビリオンで展示された
美術品が「百貨
店の商品」として扱われるなど、評価は分かれる状況にありました。
加えて、政府とは無関係に行われた日本の興行が問題視され、徐々に取り締まりの動きが強まる中で、文化的な交流が進む一方、興行の自由に関する摩擦も生じました。
フランス当局とのトラブルが引き起こされましたが、それでも多くの文化的な交流が生まれる契機ともなりました。
万国博覧会は、国際間の交流や文化発信を促進する場として、近代における重要な出来事の一つとされ、その後の博覧会のモデルともなりました。
1900年の
パリ万博は、単なる展示会に止まらず、世界各国の文化や技術の最前線を示す舞台となり、その影響は長く語り継がれました。