ティーハウス

ティーハウス（ティールーム）とは

ティーハウス、またはティールームは、主にお茶と軽食を提供する施設です。茶店、茶館、茶屋、茶房、茶寮など、地域や文化によって様々な呼び名があります。特にホテルに併設されたティールームは、アフタヌーンティーを楽しむ場所として知られています。その役割は、単に飲食を提供するだけでなく、社交や文化交流の場としての側面も持ち合わせています。

各地のティーハウス文化

アジア

東アジア
中国語文化圏: 中国では、茶館（ちゃかん）と呼ばれるティーハウスが伝統的に存在します。広東では、点心を提供する茶樓（さろう）が人気です。これらは、庶民の社交場として重要な役割を果たしてきました。元々、茶は仏教僧が瞑想の補助として用いていましたが、その後、一般の人々の間で広く飲まれるようになり、ティーハウスは社交の場として発展しました。台湾では、1980年代頃からタピオカティーを提供する店が普及しています。
日本: 日本では、近代以降に発達した茶を出す店は喫[[茶店]]と呼ばれています。かつては「茶屋」という言葉がティーハウスを指して使われていましたが、現在では古めかしい印象があります。しかし、京都では芸妓が顧客をもてなす場所として「茶屋」という言葉が使われています。
韓国: 韓国では、茶葉だけでなく、薬草や果実を使った様々なお茶と軽食を提供する店が多く存在します。特にソウルには、多様なお茶を楽しめる店が点在しています。
東南アジア
ミャンマー: ミャンマーのティーハウスはラペイエザンと呼ばれ、主要都市には欠かせない存在です。イギリス植民地時代に始まり、ミルクティーを中心に、ミャンマー料理からインド、中国の軽食まで幅広いメニューを提供します。かつては男性の社交場でしたが、現在では女性も利用できるようになりました。
ベトナム: ベトナムには、中国式、日本式、ベトナム式の様々なお茶を提供する店が存在します。また、お茶やお菓子を売る屋台も一般的です。
南アジア
インド: インドでは、ペルシア系移民が作ったイラニ・カフェがチャイと軽食を提供していましたが、その数は減少しています。一方で、イギリス式のティールームも多く存在し、西洋風の菓子やインド風の軽食を楽しむことができます。
パキスタン: パキスタンのパンジャーブ地方では、ドゥード・パティ・チャイと呼ばれる、牛乳、茶、砂糖を煮込んだお茶を提供する店があります。
バングラデシュ: バングラデシュには、コンデンスミルクや砂糖を入れたお茶と菓子類を売る小規模な屋台が数多くあります。

イスラーム文化圏

ウズベキスタン: ウズベキスタンでは、チャイハナと呼ばれるティーハウスが男性の社交場として利用されています。開放的な屋外席が特徴で、ソビエト時代には政治理念を広めるための施設も存在しました。
アフガニスタン: アフガニスタンにもチャイハナが広く存在し、男性にとって重要な社交の場となっています。
トルコ: トルコでは、チャイハネと呼ばれるティーハウスが男性の社交場でした。サモワールでお茶を提供する店が多く、町の至る所で見られます。
エジプト: エジプトなどのアラブ諸国では、アフワと呼ばれるカフェのような施設で、紅茶、コーヒー、ハーブティーなどが提供されています。

ヨーロッパ

イギリス: 紅茶文化が根強いイギリスでは、1706年にトワイニングが初のティールームをオープンしました。その後、多くのティールームが登場し、ホテル内のティールームも歴史を重ねてきました。例えば、ブラウンズ・ホテルでは170年以上紅茶を提供し続けています。
フランス: フランスでは、サロン・ド・テと呼ばれるティーハウスが1880年代頃から発展しました。当初は書店で茶を提供したのが始まりで、その後、ペイストリーやケーキを提供する女性向けの店として人気を集めました。1970年代以降、サロン・ド・テの出店が増加しました。
チェコ: チェコはヨーロッパで最もティーハウスが多い国の一つと言われています。1989年のビロード革命以降、ティーハウス文化が広まり、現在では400近くのティーハウスが存在します。
コソボ: コソボでは、チャイトーレと呼ばれるティーハウスが親しまれています。
ロシア: ロシアでは、サモワールなどを用いたロシア風の茶器で茶を出す店が多くあります。

北アメリカ

アメリカ合衆国: 20世紀初頭にティールームが流行し、ティーダンスも楽しまれましたが、1930年代以降は衰退しました。1960年代までに、多くのティーハウスがコーヒーハウスに変わりました。
カナダ: カナダでは、1920年代から30年代にかけてティーハウスでのお茶とティーダンスが流行しました。ブリティッシュコロンビア州のヴィクトリアは、アフタヌーンティーが盛んなことで知られています。ケベック州には、フランス式のサロン・ド・テも多くあります。

パタゴニア

パタゴニアには、ウェールズ系移民が多く、ガイマンにはウェールズ式のティールームが多数存在します。

南太平洋地域

オーストラリア: 19世紀末に中国系移民がシドニーに東アジア風のティールームをオープンし、人気を集めました。メルボルンでも複数のティールームが営業し、人気を博しました。
* ニュージーランド: 19世紀後半からティーガーデンで英国式の茶を楽しむ習慣がありました。1990年代以降はコーヒー中心のカフェが人気を集めています。

まとめ

ティーハウスは、世界各地で様々な形態と役割を持っています。お茶を提供するだけでなく、社交や文化交流の場として、人々の生活に深く根付いています。各国の歴史や文化を反映したティーハウスの多様性は、私たちに豊かな文化体験をもたらしてくれます。

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