パルモア学院専門学校

パルモア学院専門学校は、1886年にアメリカ南メソヂスト監督教会の宣教師ジェームス・ウィリアム・ランバスによって創設された英語塾「読書館」を起源とする専門学校です。学校名は、読書館の活動を経済的に支援したウィリアム・ビバリー・パルモアに由来します。

当初は外国人居留地で夜間英語授業を行っていましたが、その後、昼間部が設立され、関西学院の母体となりました。パルモア学院自体は、幾度かの移転と廃止の危機を乗り越え、実業教育の拠点として発展しました。

特に、ジェイムズ・サミュエル・オックスフォードが赴任してからは、実用英語科、速記科、タイプライター科を設置し、実践的な英語教育で「関西一の英語専門夜学校」と呼ばれるほどになりました。戦時中は活動を休止しましたが、戦後には専門学校として再開し、本格的な英語教育機関として3000人以上の生徒を集めました。

一方で、厳しい教育で知られ、卒業できる生徒はごく少数でした。1956年には、学院長である石井卓爾の主導によりパルモア病院が設立されました。しかし、後に学院と病院の間で金銭や土地を巡る法的紛争が発生しました。学院は経営危機に陥りましたが、卒業生である新山尭夫の尽力により経営を立て直しました。しかし、病院側は訴訟の影響で経営が悪化し、民事再生法の適用を受けることになりました。

2020年、パルモア学院専門学校は閉校しました。長年にわたり、阪神間における英語教育の一翼を担ってきた歴史に幕を下ろしました。最後の10年間は赤字経営が続き、最終年度の生徒数は1名でした。

沿革をまとめると以下の通りです。

1886年：J.W.ランバス博士により「パルモーア英学院」として創立
1889年：昼間部を分離独立させ関西学院を設立
1923年：タイプ科女子生徒を分離独立させ女子パルモア（啓明女学院→啓明学院）を設立
1945年：神戸大空襲により校舎消失
1947年：夜間英語授業再開
1951年：法人として認可
1956年：パルモア病院を設立
1990年：パルモア学院専門学校開校
1995年：昼間英語科開設
2002年：夜間英語科を現代総合英語科・夜間に改称
2007年：JR神戸駅前に移転
2008年：専門学校の名称を「パルモア学院英語専門学校」に変更、英語学校「カプラン」と提携
2020年：閉校を決定
2020年12月22日：最後の卒業式を実施
2021年4月：法人所在地が兵庫県三田市に変更
2021年7月16日：廃校および法人解散が認可

パルモア学院専門学校は、多くの関係者によって支えられてきました。

学院長には、創設者のジェームス・ウィリアム・ランバスを始め、ジェイムズ・サミュエル・オックスフォード、石井卓爾などが名を連ねます。

理事長には、ジョン・B・カブ、新山尭夫、小西和雄などが就任しました。また、専門学校長は、香西豊、モース・サイトウ、新山あやこなどが務めました。

卒業生には、エーザイ創業者の内藤豊次、衆議院議員の岩川与助、青山学院大学教授の村川久子など、各界で活躍する人材を輩出しました。

姉妹校には、関西学院、啓明学院、聖和大学、広島女学院などがあります。また、パルモア病院も関係機関として挙げられます。

パルモア学院専門学校は、その長い歴史の中で、英語教育だけでなく、地域社会にも大きな影響を与えてきました。その閉校は、多くの人々に惜しまれることでしょう。

もう一度検索