アイリアノス

クラウディオス・アイリアノス（175年頃 - 235年頃）は、古代ローマの著述家として知られています。彼はローマ近郊のプラエネステ（現在のパレストリーナ）の出身であり、彼の著作はすべてギリシア語で書かれているという特徴があります。

アイリアノスの代表的な著作としては、教訓的な逸話集である『動物の特性について』と『ギリシア奇談集』が挙げられます。これらの著作は、単なる動物や奇談の記録にとどまらず、当時の人々の倫理観や世界観を反映していると考えられています。

『動物の特性について』の中では、興味深い記述が見られます。例えば、サルデーニャやコルシカ沖で冬を過ごし、時に人を襲う「海の羊」（現代のシャチ、またはイッカクとする説もあります）について言及しています。また、大洋近くに住む住民に伝わる寓話として、ポセイドンの子孫であるアトランティスの王が、権威の象徴としてクリオスの雄の皮で作られた帯を身に着け、王妃たちはクリオスの雌の巻き毛を装飾品としていたという話を紹介しています。

さらに、アイリアノスは未確認生物についても記述を残しています。その一つが「ムカデクジラ」であり、『動物の特性について』の中では「スコロペンドラ」という名前で登場します。これらの記述は、当時の人々の想像力や未知への探求心を物語るものとして興味深いものです。

アイリアノスは、古代末期には教師としても活躍し、多くの人々から尊敬を集めていたと伝えられています。彼の著作は、単なる娯楽としてではなく、教育的な価値も高く評価されていたと考えられます。

彼の著作は現在でも研究されており、当時の文化や社会を理解するための貴重な資料となっています。

日本語訳

『ギリシア奇談集』松平千秋、中務哲郎訳、岩波文庫、1989年
『動物奇譚集』全2巻、中務哲郎訳、京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2017年

参考文献

高津春繁、手塚富雄、西脇順三郎、久松潜一 編集委員『万有百科大事典 1 文学』相賀徹夫 編（初版）、小学館〈日本大百科全書〉（原著1973年8月）。

外部リンク

De Natura Animalium
* Varia Historia

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