パレス・メイヂ

パレス・メイヂ

久世番子による漫画作品『パレス・メイヂ』は、日本の明治時代をモデルとした架空の国を舞台に、宮殿での日常と恋模様を描いた「近代宮殿ライフ」作品です。『別冊花とゆめ』（白泉社）にて2012年から2017年まで連載され、単行本は本編全7巻、番外編2巻が刊行されています。単行本第1巻のキャッチコピーは「陛下の素顔は、他言無用にて。」

作者にとっては久しぶりの少女漫画であり、掲載誌の読者アンケートで1位を獲得するなど、高い支持を得ました。「このマンガがすごい!2014」オンナ編では6位にランクインしています。話数表記は「其ノ●」（●は漢数字）で表されています。

あらすじ

物語の舞台は、明治時代に似た近代国家。御園子爵家の次男である御園公頼は、姉の静子が無理やり結婚させられそうになっているのを阻止するため、宮中にて侍従職出仕（見習い）として働くことになります。先代の帝・明慈帝が築いた壮麗な宮殿「パレス・メイヂ」には、明慈帝の第一皇女である彰子女帝が君臨していました。宮中勤めに意気込む公頼でしたが、初日から帝の直筆の絵皿や画帖が破損するという事件に遭遇します。この事件をきっかけに、公頼は宮中で様々な出来事に巻き込まれていくことになります。

登場人物

御園 公頼（みその きみより）
本作の主人公。御園子爵家の次男で、1月4日生まれ。初登場時は14歳で、後に16歳になります。放蕩三昧の兄により家計が傾き、姉の結婚を阻止するために14歳で宮中に仕えます。修学院の中等科に通いながら、隔日で宮殿に勤務しています。洞察力に優れており、事件の犯人を特定したり、女官の盗難事件を解決したりする中で彰子の信頼を得ていきます。意外な一面を知るにつれて、彰子に惹かれていきます。物語は、公頼が過去を回想する形で進みます。

彰子（あきこ）
本作のヒロイン。現在の帝であり、若く美しく聡明な女性です。公頼より二つ年上で、先代の明慈帝の第一皇女。先帝の急死を受け、幼い異母弟が成長するまでの間、中継ぎとして即位しました。着飾ることに興味がなく、普段は軍服姿で過ごしています。公頼の前では笑顔を見せたり、本音を語ったり、弱音を吐いたりするようになります。帝位に就いた女性は、生涯独身でいなければならないという決まりがあります。

久我 理彦（くが みちひこ）
公頼の初出仕時、出仕1年目の侍従職出仕。宮中では勉強しなくていいという理由で侍従職になりました。

東辻 実親（とうつじ さねちか）
公頼の初出仕時、出仕2年目の侍従職出仕。年上の女性にモテたいという理由で侍従職に。

松葉の典侍（まつばのすけ）
女官長。男子禁制の奥御座所を統括する責任者。侍従長とは従兄弟で顔立ちが似ています。公頼をかばう彰子に対し、寵愛しているのかと問い詰めます。

侍従長（じじゅうちょう）
執務や謁見などの表の業務を統括する責任者。女官長とは従兄弟。女性である彰子の身を気遣っています。

真珠の掌侍（しんじゅのしょうじ）
彰子と同い年の女官で、彰子の異母弟を産みます。掌侍は女官の階級です。

東宮（とうぐう）
彰子の異母弟。4歳で、週に一度宮殿に参内します。

明慈帝（めいぢてい）
先代の帝で、彰子と東宮の父。亡くなる間際、彰子の強さが彼女自身を傷つけていることを案じていました。

ロン
奥御座所で飼われている彰子の飼い犬。ロンドンから来た犬。

徳大寺（とくだいじ）
公頼の後輩の侍従職出仕で、公頼が指導を担当します。

柏木（かしわぎ）
宮中の雑用係で、明慈帝の代から仕えています。仕人となった公頼の指導役。

御園子爵家
御園子爵家当主 公頼と静子の兄で、放蕩により家を傾けています。過去に宮中に仕えていましたが、すぐに辞めさせられています。
御園 静子（みその しずこ）
公頼の姉で、彰子と同い年。無理やり結婚させられそうになっている。
お富（おとみ） 御園家の使用人。
お律（おりつ） 御園家の使用人。公頼に好意を抱いている。

その他
虎田（とらだ） 成金で、静子を後妻にしようとします。
鹿王院宮 威彦（ろくおういんのみや たけひこ）
彰子の元婚約者。彰子への未練から、公頼を疎ましく思っています。
黒田（くろだ） 修学院に通う公頼の友人。首席です。
佐伯（さえき） 帝都日日新聞の記者で、宮中のネタを狙っています。

用語解説

表御座所（おもてござしょ）
謁見や執務を行う場所で、侍従たちが詰めている領域です。

奥御座所（おくござしょ）
帝や女官たちの生活空間で、男子禁制のいわゆる後宮です。侍従職出仕の少年のみ出入りが許されています。

渡御廊下（とぎょろうか）
表と奥を結ぶ宮殿内で最も長い廊下。鶏の杉戸で区切られており、帝と侍従職出仕のみが通行可能です。

書誌情報

久世番子『パレス・メイヂ』白泉社〈別冊花とゆめ HC〉、全7巻
2013年6月20日発売、ISBN 978-4-592-19404-0
2014年3月20日発売、ISBN 978-4-592-19405-7
2014年12月19日発売、ISBN 978-4-592-19406-4
2015年8月20日発売、ISBN 978-4-592-19407-1
2016年4月20日発売、ISBN 978-4-592-21455-7
2017年1月20日発売、ISBN 978-4-592-21456-4
2017年8月18日発売、ISBN 978-4-592-21457-1
久世番子『金の釦 銀の襟 －パレス・メイヂ側聞－』 白泉社〈花とゆめコミックススペシャル〉、2019年8月20日発売、ISBN 978-4-592-22715-1
久世番子『パレス・メイヂ　番外編～陛下のプロトコール～』 白泉社〈花とゆめコミックススペシャル〉、2020年3月18日発売、ISBN 978-4-592-22726-7

関連項目

明治宮殿：本作の舞台であるパレス・メイヂのモデルとなった実在の建物。

外部リンク

* パレス・メイヂ - 白泉社による作品紹介ページ

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