パレネ (衛星)

パレネ (Saturn XXXIII Pallene)

パレネは、土星の第33番目の衛星であり、非常に小さな天体です。2004年に土星探査機カッシーニによって発見されました。この衛星は、カッシーニが撮影した画像の中から、画像解析チームによってメトネと共に発見された初の衛星です。

発見と命名

パレネは、カッシーニの画像解析チームによって2004年6月1日に発見されました。メトネの発見と同時に、同年8月16日に国際天文学連合のサーキュラーで公表され、仮符号S/2004 S 2が与えられました。その後、2005年1月21日に、ギリシア神話の巨人ギガースの一人であるアルキオネウスの娘、パレネにちなんで命名され、確定番号Saturn XXXIIIが与えられました。

興味深いことに、パレネはカッシーニによる発見以前にも、1981年8月23日にボイジャー2号によって撮影されていたことが後に判明しました。ボイジャー2号が土星に接近した際に、この天体の写真が1枚だけ撮影されており、その際には仮符号S/1981 S 14が与えられました。しかし、土星から約200,000km離れた位置で発見されたため、他の画像には写っておらず、この時点では軌道を特定することができませんでした。2004年の発見報告では、メトネとS/1981 S 14が同一天体である可能性が示唆されましたが、後の軌道比較により、パレネと同一であることが確認されました。

軌道

パレネは、ミマスとエンケラドゥスの間の軌道を公転しています。エンケラドゥスによる摂動的な平均経度の共鳴により、パレネの軌道は影響を受けています。ただし、この影響は、ミマスがメトネに与える摂動ほど大きくはありません。この共鳴により、パレネの接触軌道要素は変動しており、軌道長半径は約4km、近土点経度は約0.02°（距離に換算すると約75km）変動しています。また、軌道離心率は、0.002から0.006の間で複数の時間スケールで変動しており、軌道傾斜角も0.174°から0.184°の間で変動しています。

アンテやメトネと非常に近い軌道を持つことから、これらの衛星は力学的に密接な関係にあると推測されています。これらの3つの衛星の起源については、ミマスまたはエンケラドゥスから分離したという説と、初期の土星周辺に大量に存在した小衛星の生き残りであるという説が提唱されています。

土星の環との関係

2006年、カッシーニによってパレネと同じ軌道上に薄いダストの環が発見され、仮符号R/2006 S 2が与えられました。この環は、ダストの前方散乱光を観測することで検出されました。この環は半径方向に約2,500km広がっており、「パレネ環」と呼ばれています。パレネ環は、パレネの表面に微小隕石が衝突した際に放出された物質で構成されていると考えられています。

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