パレーシュ・ラーワル

パレーシュ・ラーワル：多才なインドのエンターテイナー兼政治家

パレーシュ・ラーワル（Paresh Rawal、1950年5月30日 - ）は、インドの映画産業、通称ボリウッドで絶大な人気を誇る俳優であり、コメディアン、そして元政治家としても知られる多才な人物です。長年にわたりスクリーン上で幅広い役柄を演じ分け、国内外で高い評価を獲得してきました。

生い立ちと多言語能力

ラーワルはインドの大都市ムンバイで誕生し、幼少期をその地で過ごしました。学業を修めたのは、同市のナルシー・ムンジー商工カレッジです。私生活では、1979年にミス・インドに輝いたスワループ・サンパトと結婚しており、二人の息子がいます。彼の特筆すべき点として、母語であるグジャラート語に加え、ヒンディー語、マラーティー語、テルグ語、英語といった複数の言語に堪能であることが挙げられます。この語学力は、彼の活動の幅を大きく広げる要因の一つとなっています。

俳優としての歩み：悪役からコメディ、そして性格俳優へ

俳優としてのキャリアは1985年の映画『Arjun』で幕を開けました。翌1986年の『Naam』では早くもその存在感を示し、俳優としての地位を確立します。キャリア初期の1980年代から1990年代にかけては、主に悪役として数多くの作品に出演し、その強烈な演技で観客に強い印象を与えました。しかし、1994年のコメディ映画『Andaz Apna Apna』でコミカルな役柄を巧みに演じ、新たな一面を見せます。2000年代に入ると、ラーワルは悪役のイメージから脱却し、深みのある人間味あふれる役柄を演じる性格俳優として広く認められるようになりました。これにより、ボリウッドの主要な作品で主役やそれに匹敵する重要なキャストとして起用される機会が大幅に増加しました。

主要な出演作と輝かしい受賞歴

ラーワルの演技力は高く評価されており、その証として数々の賞を受賞しています。特に1993年の『Sardar』では、インド国内だけでなく国外からも絶賛を浴びました。1994年には『Woh Chokri』と『Sir』での演技が評価され、権威ある国家映画賞の助演男優賞を受賞しています。2000年に公開された『Hera Pheri』では、アクシャイ・クマールやスニール・シェッティといった人気俳優と共演し、この作品の興行的な成功とともに、自身もフィルムフェア賞のコメディアン賞を受賞しました。この作品の続編である2006年の『Phir Hera Pheri』でも引き続き出演し、前作同様に演技が高く評価されました。2000年代はコメディアンとしての才能も遺憾なく発揮し、『ブラインド・ミッション』(2002年、アミターブ・バッチャン、アクシャイ・クマール共演)をはじめ、『Awara Paagal Deewana』、『Hulchul』、『Garam Masala』、『Deewane Huye Paagal』、『Malamaal Weekly』、『Golmaal: Fun Unlimited』、『Chup Chup Ke』、『Bhagam Bhag』、『Shankar Dada M.B.B.S.』、『Bhool Bhulaiyaa』、『Welcome』、『Mere Baap Pehle Aap』、『De Dana Dan』など、多数のヒットコメディ映画に出演し、観客を魅了しました。また、映画だけでなく、『Teen Bahuraaniyaan』、『Main Aisi Kyunn Hoon』、『Laagi Tujhse Lagan』といったテレビシリーズにも出演し、活躍の場を広げています。2010年には名誉殺人をテーマにした社会派作品『Aakrosh』に出演するなど、幅広いジャンルでその演技力を発揮しました。2012年の『オーマイゴッド 〜神への訴状〜』では再びアクシャイ・クマールと共演し、二人の息の合った演技は高い評価を得ました。近年の出演作では、『タイガー 甦る伝説のスパイ』(2017年、サルマーン・カーン共演)、伝記映画『SANJU サンジュ』(2018年、ランビール・カプール共演、スニール・ダット役)があり、話題となりました。さらに2019年には『Made in China』や『URI/サージカル・ストライク』、2020年にはタミル語映画『ただ空高く舞え』(スーリヤ共演)といった作品に出演し、精力的に活動を続けています。

政治家としての活動

俳優としての成功に加え、パレーシュ・ラーワルは政治家としても活動した経験があります。2014年から2019年までの期間、グジャラート州のアーメダバード東選挙区から立候補し、インド人民党の議員としてインド下院（ローク・サバー）の一員を務めました。俳優として培った知名度と発信力を生かし、政治の舞台でも一定の役割を果たしました。

まとめ

パレーシュ・ラーワルは、悪役から始まり、コメディアン、そして深みのある性格俳優へと見事にキャリアを転換させた稀有な存在です。数々の受賞歴が証明するように、彼の多様な演技力はインド映画界にとって不可欠なものです。俳優活動と並行して政治家としても活動した経験を持つ彼の多角的な才能は、今後も多くの観客を魅了し続けることでしょう。

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