パワージェット SaM146

パワージェット SaM146：リージョナルジェット機を支えるターボファンエンジン

パワージェット SaM146は、フランスのスネクマとロシアのNPOサトゥールンという航空機エンジンメーカーが共同で開発・製造しているターボファンエンジンです。このエンジンは、特に地域航空機向けに設計されており、その優れた性能と信頼性から、スホーイ・スーパージェット100などの航空機に搭載されています。

開発の背景

リージョナルジェット機エンジン市場は、プラット・アンド・ホイットニー、ゼネラル・エレクトリック、ロールス・ロイスといった大手企業が長年シェアを占めています。SaM146の開発にあたっては、これらの競合他社に匹敵する技術力を持ちつつ、顧客のニーズに応える形で、低燃費、低運用経費、そして高い信頼性を実現することが求められました。その結果、SaM146は、技術的にGEやロールス・ロイスと肩を並べるエンジンとして完成しました。

設計と特徴

SaM146は、14,000~17,500ポンド（62~77.8 kN）の推力を発生するエンジンで、60席から100席規模の地域航空機への搭載を想定して設計されています。2003年4月には、スホーイ民間航空機会社が、スーパージェット100の75-95席型機種のエンジンとしてSaM146を選定しました。

スネクマは、この計画にCFM56エンジンの設計・生産で培った技術を投入しました。SaM146は、単段タービンを利用する新設計のエンジンであり、国際民間航空機関（ICAO）の定める環境基準（CAEP VI）の2008年達成基準に適合しています。また、ブレードとディスクを一体加工で作るブリスク技術を使用することで、燃費を向上させ、整備費用を低減しています。

2010年6月には、欧州航空安全機関（EASA）がパワージェット SaM146エンジンを認証し、同年8月にはロシアでの認証も取得しました。

搭載機

SaM146は、主にスホーイ・スーパージェット100に搭載されています。

SaM146 1S17：スーパージェット100/95
SaM146 1S18：スーパージェット100/95LR
Be-200：2014年のウクライナ騒乱の影響でD-436TPが禁輸されたため、2020年にSaM146に換装。

仕様

形式：2軸式、高バイパス比ターボファン
全長：86インチ（2.2 m）
直径：48.2インチ（1.22 m）
乾燥重量：1,708 kg
圧縮機：ファン1段、低圧圧縮機3段、高圧圧縮機6段（軸流式圧縮機）
燃焼器：アニュラー式
タービン：高圧タービン1段、低圧タービン3段
使用燃料：Jet A, Jet A-1, TS-1, RP
推力：76.84 kN（最大離陸推力）
全圧縮比：23.8:1
バイパス比：4.43:1
燃料消費率：0.374 lb/lbf-hr
推力重量比：5.3:1

まとめ

パワージェット SaM146は、地域航空機向けに開発された高性能なターボファンエンジンであり、その優れた性能と信頼性から、スホーイ・スーパージェット100などの航空機に搭載されています。今後も、地域航空業界において重要な役割を担っていくことが期待されます。

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