欧州航空安全機関

欧州航空安全機関（EASA）について

欧州航空安全機関（European Aviation Safety Agency、EASA）は、欧州連合（EU）の専門機関の一つであり、ヨーロッパにおける民間航空の安全を確保するための重要な役割を担っています。2002年7月15日に設立が批准され、2003年9月28日に正式に発足しました。ドイツのケルンに本部を置き、EU加盟国だけでなく、欧州自由貿易連合（EFTA）加盟国も参加を認められています。

EASAの主な業務

EASAの主な業務は、以下の通りです。

安全管理の分析と研究: 航空安全に関する最新の知見に基づき、安全基準の策定や改善に貢献しています。
外国事業者の認可: EU域内で事業を行う外国の航空会社や事業者を認可する業務を行います。
EU法の起草に関する助言: 欧州委員会の航空安全に関する法案作成に対し、専門的な助言を行います。
安全規則の施行とモニタリング: EU加盟国における安全規則の履行状況を監視し、必要に応じて検査を実施します。
航空機および部品の型式証明: 航空機やエンジン、プロペラなどの型式証明を行い、安全性を担保します。
航空製品の設計、製造、保守に関わる組織の承認: 航空機の設計、製造、保守に関わる組織を承認し、高い品質を維持します。

欧州単一空域（SES）との連携

欧州単一空域（Single European Sky II）構想の一環として、EASAは追加的な任務を担っています。これにより、機能別空域ブロックの保証など、より効率的な空域管理の実現を目指しています。

合同航空機関（JAA）との違い

EASA設立以前には、合同航空機関（Joint Aviation Authorities、JAA）が同様の役割を担っていました。EASAとJAAの主な違いは、EASAがEUの機関として法的拘束力を持つ規則を制定できる点です。JAAの規制は、各国の国内法に合わせる必要がありましたが、EASAの規則はEU域内で直接効力を持ちます。

また、JAAはEU域外の国も参加していましたが、EASAはEUの機関であるため、EU加盟国が主な対象となります。ただし、EU域外の国もEASAの基準を任意で採用することができます。

EASAの管轄権

EASAは、航空機、エンジン、プロペラ、およびその他の部品の新規型式証明を承認する権限を持っています。また、設計関連の耐空性を承認する管轄権も有しています。EASAは、EU加盟国の航空規制機関（NAAs）と協力しながら、EU全体での航空安全基準の統一を図っています。

さらに、EASAはEUを代表して、世界各国の航空当局（例えば、アメリカ連邦航空局（FAA））と国際協定の締結に向けた交渉を行う役割も担っています。これにより、国際的な航空安全基準の調和を目指しています。

EASAは、EU域外の修理ステーションに対する修理ステーション証明書の発行も行っており、外国の修理ステーションがEU基準を満たすように支援しています。これにより、世界中の航空機の安全性が向上することに貢献しています。

欧州委員会は、飛行運航、乗務員のライセンス、およびEU域内で運航される非EU航空機に適用される規制を作成しており、EASAの任務範囲は拡大し続けています。

その他の情報

日本語名称には他に「欧州航空安全庁」、「欧州航空安全局」などがあります。

関連項目

欧州航空航法安全機構（Eurocontrol）
欧州民間航空会議 (ECAC)

外部リンク

* European Aviation Safety Agency（英語）

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