パンチ (雑誌)

『パンチ』: イギリスの風刺漫画雑誌

『パンチ』（Punch, or The London Charivari）は、1841年7月17日に創刊されたイギリスの週刊風刺漫画雑誌です。創刊者はヘンリー・メイヒュー、マーク・レモン、木版画家のエビネザー・ランデルズであり、彼らはフランスの日刊風刺新聞『ル・シャリヴァリ』に触発されて、この雑誌の制作を決意しました。彼らのユーモアセンスと風刺精神を反映させるために、『パンチ』には伝統的な人形芝居「パンチとジュディ」の主役であるミスター・パンチの名が冠されています。副題には「ザ・ロンドン・シャリヴァリ」と添えられました。

創刊号とその歴史的意義

創刊号の表紙はアーチボルド・ヘニングが手掛け、W・ブライアント出版社から発行されました。サイズはA4判で、全14ページ、価格は3ペンスという手頃なものでした。最初の5000部に加え、増刷も行われ、全体で10000部が売り上げられました。1849年にはリチャード・ドイルによるミスター・パンチと忠犬トビーのデザインが好評を博し、107年間にわたってこのデザインが標準となりました。

創刊から数十年の間に、『パンチ』は多くの著名な寄稿者が登場する場となりました。中でも、ジョン・テニエルは長期間にわたって政治漫画を描き続け、その内容は多くの読者に影響を与えました。また、ジョン・ベチェマン、A・A・ミルン、P・G・ウッドハウスなど、多彩な作家たちも寄稿しています。そのため、英語に新たな語彙も生まれることとなりました。

海外への影響と派生雑誌

イギリス国外でも『パンチ』は影響を与え、1862年には日本の横浜居留区でチャールズ・ワーグマンによって『ジャパン・パンチ』が創刊されました。これが後の「ポンチ絵」という日本における漫画の呼称の起源となります。他にも、中国の『チャイナ・パンチ』やアメリカの『パンチネロ』などが創刊され、国際的な存在感を示しました。

定期刊行の終焉と復活

『パンチ』は、その影響力の大きさにもかかわらず、1992年には発行部数の減少に直面し、廃刊を余儀なくされました。その後、実業家モハメド・アル＝ファイドによって誌名が買収され、1996年に再出版が行われましたが、利益を生むことはできず、2002年に再び刊行停止となりました。この期間の出版による損失は約1600万ポンドに達し、定期購読者は6000名と低迷しました。

結論

『パンチ』はその創刊以来、150年以上にわたりイギリスの文化とユーモアを形作り続けました。プロジェクト・グーテンベルクなどのプラットフォームで、第一次世界大戦以前のバックナンバーを閲覧できることから、その内容の重要性と歴史的価値の高さが伺えます。風刺に特化したこの雑誌は、過去の影響力を持つだけでなく、今なお多くの人々に愛され続けています。

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