パンツァーファウスト3

パンツァーファウスト3（Panzerfaust 3）

パンツァーファウスト3とは、ドイツのダイナマイト・ノーベル社が製造する対戦車ロケット弾発射器で、無反動砲の一種として知られています。その名前は、第二次世界大戦中に開発されたパンツァーファウストに由来しています。パンツァーファウスト3は、1960年代に配備されたPzF-44やカールグスタフ無反動砲の後継モデルとして、1970年代から開発が始まり、1992年から実際の部隊で使用されています。

主要な特徴

この兵器は、訓練が不十分な兵士でも扱えるように単純な操作を重視して設計されています。ドイツ連邦陸軍に採用され、中でもスイスや日本の陸上自衛隊ではそれぞれPzF84や「110mm個人携帯対戦車弾」として使用されています。また、ドイツでは後継となるMATADORの導入が進められています。

構造と機能

パンツァーファウスト3は、発射時の反動を相殺するためのデイビス式無反動砲を採用しており、後方にカウンターマスを発射することで反動を打ち消します。この方式により、後方での爆風が少なく、安全性が高められています。また、カウンターマスは金属粉でできており、発射後に拡散したり、方向を変えたりすることはありません。これにより、後方に10メートル以上離れた位置からでも安全に発射でき、狭い場所でも使用が可能です。

発射機は弾薬部とグリップ部から構成されており、弾薬部は使い捨て、グリップ部は再利用を前提としています。弾薬部には、ソ連のRPG-7と同様のロケットブースター付き弾頭が装填され、撃発は衝撃雷管によって行われます。発射後には安定翼が展開し、ロケットモーターが点火されて飛翔します。

さまざまな弾頭が使用可能で、ドイツ製のPZF 3を始め、成形[[炸薬弾]]や二重弾頭のタンデムHEAT弾、さらには堅牢な固定目標用のブンカーファウスト（DM32）などがあります。照準具には暗視装置やリモコン式発射架台、さらには電子式照準具も取り入れられることで、有効射程が延長されています。

陸上自衛隊での採用

日本の陸上自衛隊でもパンツァーファウスト3が「110mm個人携帯対戦車弾」として採用されており、通称LAM（Light-weight Anti-tank Munition）と呼ばれています。このモデルはIHIエアロスペースによって国産化され、当初は後方支援部隊の自衛火器として採用されました。

部隊に支給される際には、訓練用の縮射弾や演習弾も備えられており、実戦においては使い捨ての弾薬に分類されています。弾薬が使用される際、射撃後のチューブはその場で投棄できるため、運用が容易です。1個小銃班には1本が装備される形となっています。

採用国と仕様

パンツァーファウスト3は、ドイツ、オーストリア、イタリア、日本、オランダ、韓国、スイス、そして最近ではウクライナでも使用されています。標準モデルにおける仕様は以下の通りです。

• - 弾頭口径: 110mm
• - ロケット弾重量: 4.2kg
• - 全重量: 13.9kg
• - 全長: 1,400mm（ロケット弾装着時）
• - 貫通力: 700mm（表面硬化処理均一圧延鋼板）
• - 有効射程: 固定目標500m、移動目標300m、Dynarange使用時は600m

メディアでの登場

この兵器は、映画やアニメでも取り上げられています。たとえば映画『ガメラ3 邪神覚醒』やアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』などで使用される様子が描かれています。また、小説『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』では異世界の戦闘にも用いられるなど、フィクションの中で多様な役割を果たしています。

このように、パンツァーファウスト3は高い操作性と多様な使用方法を兼ね備えた対戦車兵器として、国内外で広く利用されています。

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