パンデュールII

パンデュールII：多目的装輪装甲車の進化

パンデュールIIは、オーストリアのシュタイアー・ダイムラー・プフ社が開発した多目的装輪装甲車です。前身であるパンデュールIの設計思想を受け継ぎつつ、大幅な改良が加えられています。特に、6輪式から8輪式への変更は、車内容積の拡大に大きく貢献し、様々な派生型を生み出す基盤となりました。

車両の特徴

パンデュールIIの最大の特徴は、モジュール構造を採用している点です。これにより、兵員輸送車、歩兵戦闘車、偵察車、救急車など、様々な任務に対応することができます。防御力も強化されており、標準的な装甲で7.62mm徹甲弾、オプションの増加装甲で14.5mm徹甲弾の直撃に耐えることが可能です。

運転席は車体前部左側に配置され、3基のペリスコープで前方視界を確保します。うち1基は暗視装置に換装することも可能です。兵員輸送能力は、砲塔搭載型で6名、装甲兵員輸送車型で12名となっています。また、C-130ハーキュリーズ輸送機による空輸に対応しており、迅速な展開が可能です。

武装は、搭載する砲塔やRWS（Remote Weapon Station）、ピントルマウントによって大きく異なります。オーストリアとスペインが共同開発したASCOD装軌式多目的装甲車両用のものなど、様々な種類の武装を搭載できます。

各国での派生型

パンデュールIIは、各国で様々な派生型が採用されています。

ポルトガル: 装甲兵員輸送車、装甲救急車、歩兵戦闘車、機動砲車両、対戦車車両、自走迫撃砲、指揮車、装甲回収整備車、NBC偵察車、戦闘工兵車、通信車、監視車など、多岐にわたる派生型を運用しています。
チェコ: チェコ陸軍仕様のパンデュールII CZは、車体の左右と後部にカメラを搭載し、車長の支援なしで精密な機動を可能にしました。また、ラファエル社製の増加装甲を装着し、14.5mm弾の直撃に対する防御力を向上させています。武装は、30mm ATK Mk 44 ブッシュマスター II チェーンガン、7.62mm機関銃、スパイクLR対戦車ミサイルなどで構成されています。しかし、2019年には、予備部品の供給遅延により、一部車両が運用不能になる事態も発生しました。

KBVP: 基本型の歩兵戦闘車仕様
KBV-Pz: 戦場監視レーダーを搭載した偵察仕様
KOT-VOV: 指揮通信車
KOT-Zdr: 戦場救急車
KOT-Ž: 戦闘工兵車

採用国

パンデュールIIは、以下の国で採用されています。

オーストリア
チェコ
ガボン（試験用）
ポルトガル
リトアニア（選定トライアル中）
* フィリピン

スロベニアにも売り込みが図られましたが、フィンランド製のパトリアAMVが採用されました。

まとめ

パンデュールIIは、モジュール構造と高い汎用性により、様々な任務に対応できる優れた装輪装甲車です。各国での採用実績が示すように、その性能は高く評価されています。今後も、各国のニーズに合わせて、様々な改良や派生型が登場することが期待されます。

General Dynamics European Land Systems - PANDUR 8x8紹介ページ（英語）
Military-today.com（英語）
ArmyRecognition.com - Pandur II 6x6 / Pandur II 8x8（フランス語）

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