パンプーリャの近代建築群

パンプーリャの近代建築群

パンプーリャの近代建築群は、ブラジルのベロオリゾンテ市北東部に位置する人造湖、パンプーリャ湖の周辺に広がる建造物群です。この地域は、当時のベロオリゾンテ市長ジュセリーノ・クビチェックが、若き建築家オスカー・ニーマイヤーを招聘し、著名な芸術家たちと共に作り上げた、ブラジルにおけるモダニズム建築の先駆けとして知られています。

2016年7月には、その文化的価値が認められ、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。

登録までの経緯

1996年9月6日に、「パンプーリャ湖畔の観光・レジャー建築物群」として世界遺産の暫定リストに記載されました。その後、2015年1月31日に「パンプーリャの近代建築群」として正式推薦され、国際記念物遺跡会議（ICOMOS）の勧告を経て、第40回世界遺産委員会にて正式登録が決定しました。

名称

世界遺産としての正式登録名は、英語では「Pampulha Modern Ensemble」、フランス語では「Ensemble moderne de Pampulha」とされています。日本語では、「パンプーリャの近代建築群」のほか、「パンプーリャ近代建築群」や「パンプーリャ湖の近代建築群」など、いくつかの表記が見られます。

構成資産

パンプーリャの近代建築群は、オスカー・ニーマイヤーが設計した主要な建築物と、ロベルト・ブール・マルクスのランドスケープデザインによって構成されています。主な構成資産としては、サン・フランシスコ礼拝堂、パンプーリャ美術館、カーサ・ド・バイリ、ヨットクラブ、そしてニーマイヤー邸などが挙げられます。

パンプーリャ美術館

パンプーリャ美術館は、ニーマイヤーが最初に手がけた建物であり、その初期の作品には、彼が影響を受けたル・コルビュジエの要素が色濃く反映されています。もともとはカジノとして設計されましたが、賭博規制により短期間で閉鎖され、1957年に美術館として再開されました。館内には1600点以上の美術品が収蔵されており、庭園はロベルト・ブール・マルクスの手によって復元されています。

カーサ・ド・バイリ

カーサ・ド・バイリは、かつてレストランやオーケストラ、舞台などが併設された施設でした。1943年に開場しましたが、カジノ禁止の影響を受け閉鎖されました。湖畔の地形に沿って建てられた曲線的なデザインが特徴で、ニーマイヤー建築の曲線美が際立っています。現在は多目的スペースとして利用されており、2002年にニーマイヤー自身による再設計を経てリフォームされました。庭園はリカルド・サムエル・ジ・ラナによって再解釈されています。

ヨット・クラブ

1942年に建設されたヨット・クラブは、バタフライ・ルーフと呼ばれる、蝶の翅のような特徴的な屋根を持つ建物です。当初はゴルフ・ヨットクラブとして建設されましたが、現在はヨット・テニスクラブとして利用されています。内部には、プール、テニスコート、バスケットコートなどが設置されています。

サン・フランシスコ・ジ・アシス教会

サン・フランシスコ・ジ・アシス教会は、1943年に建設された教会で、コンクリート・シェルが宗教建造物に利用された最初の例です。外壁にはカンディド・ポルチナーリによる壁画が描かれています。その斬新なデザインは当初、当時の市長ジュセリーノ・クビチェックからは理解されず、取り壊しさえも要求されましたが、1959年に正式に献堂されました。

クビチェックの家

クビチェックの家は、市長クビチェックの週末用別邸として建てられた建物で、ヨット・クラブと同様にバタフライ・ルーフが採用されています。世界遺産登録範囲の緩衝地域内に位置しています。

登録基準

パンプーリャの近代建築群は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(2) ある期間を通じて、建築、技術、都市計画などの分野において、重要な価値の交流を示していること。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する、建築様式、建築物群、景観の優れた例であること。

これらの基準の適用において、モダニズム建築、ランドスケープデザイン、造形芸術の優れた融合が評価されました。また、世界恐慌後の新たな庭園都市の発展段階を示している点も高く評価されています。

パンプーリャの近代建築群は、その建築的、芸術的な価値だけでなく、都市計画の歴史においても重要な役割を果たしており、ブラジルの近代建築を語る上で欠かせない存在となっています。

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