ヒシマサル (1955年生)

ヒシマサル：伝説の名馬とその系譜

1950年代後半から1960年代初頭にかけて活躍した競走馬、ヒシマサル。その生涯は、数々の勝利と悲劇、そして世代を超えた継承というドラマチックな物語で彩られています。本記事では、ヒシマサルとその血脈について、詳細にわたって解説します。

輝かしい戦績と数々の障害

ヒシマサルは1957年8月、函館競馬場でデビュー。初勝利は翌1958年、4歳時でした。その後、驚異的な3連勝を飾り、NHK杯4着、東京優駿（日本ダービー）5着という結果を残します。しかし、ヒシマサルの真価はその後発揮されました。千葉ハンデキャップでは、レース直前に硫酸をかけられるという妨害事件に見舞われながらも勝利を収めたのです。この事件は、ヒシマサルの強さと、それを支えた関係者の努力を物語っています。

続く札幌記念、毎日王冠、セントライト記念など主要重賞レースで勝利を重ね、その名を全国に轟かせました。菊花賞では5着に終わりましたが、1958年度の啓衆賞最良スプリンターを受賞するなど、その年の活躍は目覚ましいものがありました。5歳時にも安田記念、日本経済賞などで勝利を収め、天皇賞（春）では3着と健闘。6歳で引退するまで、数々の栄光を手にしました。

早すぎる死と、息子の活躍

種牡馬となったヒシマサルは、国産種牡馬という不利な条件の中、早くも優秀な産駒であるヒシマサヒデを輩出しました。ヒシマサヒデは安田記念で優勝し、父と同じく啓衆賞最良スプリンターを受賞するなど、まさに父譲りの才能を発揮しました。しかし、ヒシマサルは、その息子の活躍を見ることなく、1961年、放牧中に事故で亡くなりました。有刺鉄線に絡まり、それを振り払おうとした際に負った傷が原因でした。わずか3年という短い種牡馬生活でした。

ヒシマサルの系譜：2代目、3代目

ヒシマサルの名は、その後も受け継がれていきます。1989年には、2代目ヒシマサルが誕生。アメリカで登録されたのち、日本に輸入されました。これは、種牡馬として活躍した競走馬と同じ名前を登録するという、珍しいケースでした。2014年には、3代目ヒシマサルが誕生。こちらは、10戦3勝の戦績を残し、引退後は乗馬となりました。

まとめ：記憶に残る名馬

ヒシマサルは、数々の勝利、妨害事件、そして早すぎる死というドラマチックな生涯を送りました。その名は、優秀な産駒ヒシマサヒデや、後世に続く同名馬たちによって、今もなお語り継がれています。その強さと、その系譜は、日本の競馬史に燦然と輝く、一つの伝説となっています。 ヒシマサルの活躍は、競馬関係者やファンにとって、永遠に語り継がれるべき物語です。その短くも激しい人生は、私たちに感動と、忘れかけていた何かを思い出させてくれます。 ヒシマサル、そしてその血脈は、これからも日本の競馬史に刻まれ続けるでしょう。

主な産駒

ヒシマサヒデ：安田記念、オールカマー、京王杯スプリングハンデキャップ、金杯（東）など多数の重賞競走で優勝。1966年啓衆賞最良スプリンター受賞。ヒシスピードの父。
タクマサル：イナリトウザイの母。

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