ヒト絨毛性ゴナドトロピン

ヒト絨毛性ゴナドトロピン（hCG）

ヒト絨毛性ゴナドトロピン、略してhCGは、妊娠中に特に重要な役割を果たすホルモンです。このホルモンは、受精後すぐに胎児の栄養膜の一部である合胞体層において産生され、妊娠の継続に不可欠な働きをします。

基本的な働き

hCGは主に、黄体の分解を防ぐことでプロゲステロンの生成を支える役割があります。プロゲステロンは、子宮内膜を厚くし、胎児が育つための環境を整えるために必要なホルモンです。また、hCGは母体と胎児の免疫系の調整にも影響することが考えられています。

妊娠検査は、血液または尿中のhCGの量を測定することによって行われます。一般的に、hCGバージョンのβサブユニットが特異的な抗体に利用されることが多いです。これにより、妊娠の有無を確認することができます。

構造と機能

hCGは、237のアミノ酸から成る36.7kDaの糖タンパク質で、黄体形成ホルモン（LH）や卵胞刺激ホルモン（FSH）と同様のαサブユニットを持っていますが、特有のβサブユニットも含まれています。hCGは黄体機能の維持に重要であり、妊娠中を通じてプロゲステロンの分泌を促進します。

hCGは、妊娠している女性の尿から抽出できるため、人工授精や不妊治療の際に用いられます。例えば、排卵誘発やホルモン治療の一環として使用されることがあります。具体的な製品名にはPregnylやOvidrelなどがあり、これらは国外で流通しています。

妊娠検査と関連性

妊娠検査においては、hCGの特定のレベルを測定することによって、受精卵の存在が確認されます。尿検査では、朝一番の尿を用い、hCGの濃度が25～100mIU/ml以上であれば妊娠の可能性が高いとされます。血液検査ではさらに精度の高い測定が可能であり、5mIU/ml以上が検出できる方法もあります。

しかし、hCGは他のホルモンと混同されることがあり、擬陽性結果を引き起こす場合もあります。特に、胞状奇胎などの状態では、妊娠が確認されないにもかかわらずhCGが高濃度で測定されることがあります。

腫瘍マーカーとしてのhCG

hCGは、特定のがんの腫瘍マーカーとしても知られています。奇形腫や絨毛がんなどのがん患者からも分泌されることがあり、βhCGの急増は腫瘍の存在を示唆することがあります。ただし、βhCGの上昇が必ずしも腫瘍の存在を確認するわけではなく、患者の監視や治療経過の評価にも利用されます。

ステロイドとの使用

最近ではhCGが、アナボリックステロイドと併用されてドーピング目的で用いられることもあります。ステロイドを使用すると、体内のテストステロン生産が抑制されるため、hCGを使って精巣の機能を維持することがあります。これにより、自然なテストステロンの生産が再生されることを期待する使い方です。

結論

ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、妊娠に不可欠なホルモンであり、その検出は妊娠の特定に寄与します。また、腫瘍マーカーや不妊治療への応用も多岐にわたり、重要な役割を果たしています。

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