ヒバリ

ヒバリ

ヒバリ（雲雀、鸙、告天子、Alauda arvensis）は、スズメ目ヒバリ科に分類される鳥類です。春の鳥として世界各国で愛されており、その姿や鳴き声は多くの人々に親しまれています。

地方名

古くから人々の生活と密接に関わってきたヒバリには、多くの地方名があります。代表的なものとして、告天子（こうてんし）、叫天子（きょうてんし）、天雀（てんじゃく）、姫雛鳥（ひめひなどり）、噪天（そうてん）、日晴鳥（ひばり）などがあります。

分布

ヒバリは、アフリカ大陸北部、ユーラシア大陸、イギリス、日本に分布しています。日本では、亜種ヒバリが周年生息するほか、亜種カラフトチュウヒバリや亜種オオヒバリが冬季に越冬のため本州以南へ渡来します。

亜種ヒバリ (Alauda arvensis japonica)：日本に周年生息
亜種カラフトチュウヒバリ (Alauda arvensis lonnbergi)：冬季に渡来
亜種オオヒバリ (Alauda arvensis pekinensis)：冬季に渡来

形態

ヒバリは、全長約17cm、翼開長約32cmの鳥です。後頭部には冠羽があり、興奮すると立てます。体の上面は褐色で、羽軸に黒褐色の斑紋があります。下面は白色で、側頸から胸部にかけて黒褐色の縦縞が入ります。外側の尾羽は白色で、初列風切は長く突出しています。くちばしは黄褐色で先端が黒く、後肢はピンクがかった褐色です。卵は灰白色で、灰色や暗褐色の斑点があります。オスはメスに比べて冠羽をよく立てる傾向があります。

生態

ヒバリは、草原、河原、農耕地などに生息します。近年では、高山帯でも生息が確認されています。食性は雑食で、主に種子を食べますが、昆虫やクモなども捕食します。繁殖期には、オスが上空でさえずりながら飛翔する「揚げ雲雀」と呼ばれる行動がよく見られます。巣は地表の窪みに作られ、メスが植物の葉や根を使ってお椀状の巣を作ります。一度に3-5個の卵を産み、抱卵期間は11-12日です。雛は孵化後9-10日で巣立ちます。繁殖期にはつがいで生活しますが、非繁殖期には小さな群れで生活します。

分類

亜種ヒバリを独立種とする説もあります。

Melanocorypha bimaculata：クビワコウテンシ
Alauda arvensis japonica：ヒバリ
Alauda arvensis lonnbergi：カラフトチュウヒバリ
Alauda arvensis pekinensis：オオヒバリ

種の保全状況評価

日本では、多くの都道府県でヒバリがレッドリストに指定されています。愛玩飼養の対象であった時期もありましたが、現在は鳥獣保護法によって保護されています。

絶滅危惧II類：東京都区部、北多摩、南多摩
準絶滅危惧：福島県、山口県
一般保護生物：千葉県

人間との関係

ヒバリは、古くから人々に親しまれてきた鳥です。万葉集や俳句などにも詠まれ、春の季語としても使われています。また、ヒバリの鳴き声を「日一分、日一分、利取る、利取る、月二朱、月二朱」と聞きなす表現もあり、その鳴き声と飛翔する姿から、太陽に金貸しをしているという民話も存在します。音楽の分野でも、ヒバリをモチーフにした作品が多く作られており、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」や、ハイドンの弦楽四重奏曲第67番「ひばり」などが知られています。日本では、かつてヒバリを飼育して鳴き声や高さを競う遊びがありましたが、現在は禁止されています。

近年、ヒバリは世界的に減少傾向にあり、特にヨーロッパでは、農耕地の変化や大規模化が原因として考えられています。日本でも、畑地の減少や作物の変化によって生息環境が悪化しており、ヒバリの減少に影響を与えていると考えられています。

人との関わり

江戸時代には、「三鳥二魚」と呼ばれる珍味の一つとして、ヒバリが数えられていました。水戸藩から皇室にも献上されていた郷土料理として知られています。三鳥二魚とは、鶴、ヒバリ、鷭、鯛、鮟鱇のことです。

ヒバリをシンボルとする自治体

ヒバリは、多くの自治体のシンボルとして指定されています。

都道府県

茨城県
熊本県

市町村

北海道：帯広市、東神楽町、大樹町
青森県：六戸町
山形県：庄内町
福島県：南相馬市
茨城県：石岡市、つくばみらい市、八千代町、河内町、五霞町
栃木県：真岡市、芳賀町、壬生町、高根沢町
群馬県：吉岡町、板倉町
埼玉県：所沢市、熊谷市、入間市、川島町、吉見町、三芳町
千葉県：野田市
東京都：府中市、瑞穂町
神奈川県：相模原市
山梨県：昭和町
長野県：南牧村
静岡県：富士宮市
石川県：川北町
岐阜県：輪之内町
三重県：東員町
滋賀県：甲西町、今津町、中主町、湖東町
福岡県：大刀洗町
熊本県：嘉島町、菊陽町、あさぎり町

脚注

注釈

出典

参考文献

高野伸二他　山溪カラー名鑑『日本の野鳥』、山と溪谷社 、1985年
黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社、1986年、152頁。

関連項目

ヒバリ科
ヒバリ属

外部リンク

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