ヒムキ

ヒムキ（Химки, Khimki）

ヒムキは、ロシアのモスクワ州に位置する都市で、人口は約25万人（2021年）です。モスクワの北西に隣接する衛星都市であり、ドルゴプルドニ市が北東に位置しています。ヴォルガ川上流とモスクワ川を結ぶモスクワ運河が東を流れ、モスクワとサンクトペテルブルクを結ぶ幹線鉄道と高速道路M10が通る交通の要衝でもあります。

概要

ロシア全体の人口が減少傾向にある中、ヒムキは急速な人口増加を続けています。モスクワ大都市圏は特に人口増加が著しく、都心やシェレメーチエヴォ国際空港に近いヒムキでは、大規模な住宅建設プロジェクトが進行中です。また、企業や商業施設の進出も活発で、フランスの大手小売りグループであるオーシャン（Auchan）や、スウェーデンの家具チェーンであるイケア（IKEA）が入居するロシア最大級のショッピングモールが開設されています。

一方で、森林を切り開いての開発や、高速道路建設計画に対する反対運動も起きています。開発と環境保護のバランスが課題となっています。

ヒムキは、プロバスケットボールチームのBCヒムキや、プロサッカークラブのFCヒムキの本拠地でもあり、スポーツも盛んな都市です。

歴史

1850年にモスクワ・サンクトペテルブルク鉄道が開通し、ヒムキ駅が設置されたことが、街の発展のきっかけとなりました。駅周辺には人が集まり、郊外の保養地として発展しました。ソ連時代に入ると、ヒムキ駅周辺に工場が集積するようになり、工業都市としての性格を強めていきました。1939年には市制が施行され、ヒムキ市が誕生しました。現在、ヒムキ市はモスクワ市と境界を接しています。

独ソ戦（第二次世界大戦）中のモスクワの戦いでは、1941年11月から12月にかけて、ドイツ国防軍がモスクワ運河沿いのこの地にモスクワへ最接近しました。赤軍は必死の抵抗を繰り広げ、ドイツ軍の侵攻を食い止めました。この戦いを記念する巨大な対戦車用障害物の形をした記念碑が、モスクワ・サンクトペテルブルク間の高速道路と鉄道が交差する付近、イケア・ショッピングセンターの近くに建てられています。また、戦没した兵士やパイロットが埋葬されているヒムキ戦争記念碑もあります。

閉鎖都市

冷戦時代、ヒムキは軍需産業が集中する都市であったため、閉鎖都市となりました。モスクワからサンクトペテルブルクやシェレメーチエヴォ国際空港に向かう高速道路沿線に位置しているにもかかわらず、外国人は立ち入ることができませんでした。

産業

第二次世界大戦後、ヒムキはラボーチキン設計局をはじめとするソ連の航空宇宙企業の拠点が置かれる産業都市として発展しました。市民の多くはこれらの企業に就職していました。S-75、S-125、S-200、S-300といった地対空ミサイルや、大陸間弾道ミサイル、使い捨て型ロケットのエンジンなどが、この地で研究開発されました。

これらの航空宇宙企業は、現在でも国際宇宙ステーション計画に参加するなど、研究開発を続けています。

姉妹都市

フロドナ（ベラルーシ）
ポルタヴァ（ウクライナ）
en:Kemer（トルコ）

外部リンク

ヒムキ市公式サイト（ロシア語）

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