ヒムヤー系

ヒムヤー系：栄光と衰退を繰り返すサラブレッドとクォーターホースの系譜

ヒムヤー系は、1875年生まれのサラブレッド、ヒムヤーを祖とする父系です。アメリカにおいては20世紀初頭、コリンやエクイポイズといった名馬を輩出し、大きな繁栄を遂げました。しかしその後は衰退期を迎えながらも、ブロードブラッシュやホーリーブルといった活躍馬の登場によって、その都度勢力を回復させてきました。現在でもアメリカではマイナーながら一定の勢力を維持しており、クォーターホースの世界では主流の一角を担っています。

ヒムヤー系の二大系統：ドミノ系とプローディット系

ヒムヤー系の勢力は大きく分けて、ヒムヤーの直仔であるドミノとプローディットの系統に分類されます。

ドミノ系：栄光と消滅の狭間を彷徨う系譜

ドミノ自身はわずか2世代の産駒しか残さず早逝しましたが、その産駒であるコマンドが種牡馬として成功を収め、ドミノ系と呼ばれる系統が確立されました。さらに、ドミノの孫にあたるピーターパンは成功した種牡馬となり、ピーターパン系は一時的に大いに繁栄しました。しかし、現在ではサラブレッドの世界ではほぼ絶滅状態にあります。

コリンは種牡馬としては成功しませんでしたが、その子孫にあたるアックアックと、アックアックの直仔であるブロードブラッシュが種牡馬として成功を収め、ヒムヤー系、ひいてはドミノ系の血を広めました。アックアックは母の父としても成功し、母系にも大きな影響を与えました。しかし、ブロードブラッシュの代表産駒であるBCクラシック優勝馬コンサーンは種牡馬として失敗に終わり、この系統全体では種付け数が100頭に満たないほど衰退しています。現在のドミノ系の主流は、ピムリコスペシャルハンデを制したインクルードとその子孫ですが、インクルードも高齢であることから、将来性は不透明です。

プローディット系：長く続く血統と、その栄光と挫折

プローディット系は、ドミノ系のような華々しい成功はありませんでしたが、長い間脈々と父系を繋いできました。プローディットから6代後、ラフンタンブルが登場し、アメリカ殿堂馬ドクターフェイガーをはじめとする活躍馬を輩出しました。ドクターフェイガーは1971年にはリーディングサイアーにもなりましたが、早世したことで再び衰退期に入ります。しかし、ラフンタンブルの孫にあたるグレイトアバヴが、アメリカ殿堂馬ホーリーブルを送り出し、再び勢いを取り戻しました。ホーリーブルも種牡馬として成功し、その息子であるマッチョウノはBCクラシック優勝馬ムーチョマッチョマンを輩出しました。しかし、アメリカにおいてはムーチョマッチョマンの系統以外ほぼ途絶え、ムーチョマッチョマン自身も種付け数が減少しています。ムーチョグストというペガサスワールドカップ優勝馬を輩出しましたが、将来性は明るくないと言えるでしょう。一方、日本ではマッチョウノの子であるダノンレジェンドが多くの牝馬を集めており、その産駒が2020年からデビュー予定となっています。

ヒムヤー系の現状と未来

ヒムヤー系は、栄光と衰退を繰り返しながらも、サラブレッドとクォーターホースの世界でその血脈を繋いできました。アメリカでの種付け頭数は変動が激しく、常に存続の危機と隣り合わせです。しかし、日本でのダノンレジェンドの活躍や、アメリカにおける新たな活躍馬の出現の可能性を考えると、完全に絶滅するとは言い切れません。今後の動向に注目が集まります。

まとめ

ヒムヤー系は、その歴史の中で数々の名馬を輩出し、大きな影響を与えてきた父系です。しかし、種牡馬としての成功と失敗を繰り返し、現在も存続の危機に瀕しています。今後の発展のためには、新たな活躍馬の出現や、既存の系統の維持・発展が不可欠と言えるでしょう。 サラブレッドとクォーターホースの世界における、ヒムヤー系の今後の動向は注目に値します。

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