エクイポイズ

エクイポイズ：ハンデキャップの王者、そして種牡馬としての成功

エクイポイズ (Equipoise, 1928年 - 1938年) は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッド競走馬にして、優れた種牡馬です。クラシック路線での活躍は影を潜めましたが、4歳シーズン以降はハンデキャップ競走において圧倒的な強さを誇示し、アメリカ競馬史にその名を刻みました。栗毛の美しい馬体から「チョコレートソルジャー」の愛称で親しまれ、1957年にはアメリカ競馬殿堂入りを果たしています。

競走馬としてのキャリア

実業家ハリー・ペイン・ホイットニーによって生産されたエクイポイズは、ハリーの死後、息子のコーネリアス・ヴァンダービルト・ホイットニーの所有馬となりました。1930年4月のデビュー戦からその才能を開花させ、2歳シーズンは16戦8勝という輝かしい成績を収めます。トゥエンティグランドやメイトといった後のクラシックホースとも幾度となく対戦し、善戦しました。ピムリコフューチュリティでは、落鉄しながらも両馬を下し勝利を掴み、その年の最優秀2歳牡馬に選出されました。

しかし、2歳シーズンの激しい戦いはエクイポイズに裂蹄という傷を残しました。3歳シーズンは、この裂蹄の影響でクラシック競走では思うような結果を残せず、長期休養を余儀なくされます。

転機となったのは4歳シーズンです。ハンデキャップ競走から始動したエクイポイズは驚異的な7連勝を達成、その勢いはアーリントンゴールドカップまで続き、10勝という素晴らしい成績で年度代表馬の栄冠に輝きました。5歳シーズンも、重い斤量をものともせず、メトロポリタンハンデキャップでは他馬より26ポンドも重いハンデを背負いながら優勝するなど、その強さを改めて見せつけました。このシーズンも7連勝を記録し、2年連続で年度代表馬に選出されています。

6歳シーズンは怪我に悩まされながらも6戦3勝と健闘し、最優秀古牡馬の称号を獲得。7歳シーズンは3戦未勝利に終わり、競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。しかし、その偉大な功績は後世に語り継がれ、1957年にアメリカ競馬名誉の殿堂博物館に殿堂馬として選定されています。

種牡馬としての成功とその後

1935年から種牡馬となったエクイポイズは、わずか4年後の1938年8月4日、10歳の若さで大腸炎のため急死してしまいます。しかし、その短い種牡馬生活において、ケンタッキーダービーとベルモントステークスを制したシャットアウトなど、数々の活躍馬を輩出しました。特にシャットアウトの活躍により、1942年にはリーディングサイアーにも輝いています。

エクイポイズの子孫には、名馬スタイミーの父であるエクイストリアンも含まれます。エクイポイズの父系はサラブレッドの世界では途絶えてしまいましたが、クォーターホースの世界では現在もその血統が受け継がれています。ホイットニーファームに埋葬されたエクイポイズの墓石には、「我が牧場の輝かしき子」と刻まれているといいます。

幾多の勝利と惜しまれる敗北

エクイポイズは、51戦という競走生活の中で、落馬による敗北が1回、1位入線での失格が3回もありました。6歳時には3連覇がかかっていたメトロポリタンハンデキャップで1位入線も失格という苦い経験もしています。7歳シーズンには1位入線で失格となり、繰り上がりで勝利を手にしたのは、かつて同期として競い合ったトゥエンティグランドでした。こうした数々のドラマを経験しながら、エクイポイズは伝説的な競走馬として記憶されています。

評価と顕彰

エクイポイズは、その圧倒的な強さと輝かしい功績から、後世に様々な形で称えられています。アメリカ競馬名誉の殿堂博物館への殿堂入り、ブラッド・ホース誌の選ぶ20世紀のアメリカ名馬100選への選出（第21位）、そしてアーリントンパーク競馬場には、エクイポイズを記念した「エクイポイズマイルハンデキャップ」が創設されています。これらの功績は、エクイポイズがいかに偉大な競走馬であったかを物語っています。彼の名は、アメリカ競馬の歴史に永遠に刻み込まれることでしょう。

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