ヒメシャラ

ヒメシャラ（姫沙羅）

ヒメシャラ（学名: Stewartia monadelpha）は、ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木です。和名はその姿がナツツバキ（別名：シャラノキ）に似ているものの、全体的に小さいことに由来します。別名として、サルナメリ、アカラギ、コナツツバキ、サルタノキなどがあります。また、漢字表記の「赤栴檀」は漢名に由来します。

サルスベリとの違い

ヒメシャラは、樹皮が非常に滑らかであるため、サルスベリと呼ばれることがあります。しかし、標準和名がサルスベリの植物（ミソハギ科）とは分類学的に全く異なる種です。また、リョウブも樹皮が滑らかになることがありますが、ヒメシャラのほうがより滑らかな質感を持っています。

分布と生育環境

ヒメシャラは、日本固有種であり、神奈川県箱根以西から和歌山県までの本州太平洋側、四国南部、九州、屋久島に分布しています。暖帯上部から温帯域の山地のブナ林内などに生育し、パイオニア的な性質を持ちます。やや荒れた森林に良く見られます。

形態

樹高: 15 - 20メートルに達する高木。
樹皮: 若木のうちは灰色のざらついた樹皮ですが、成長につれて不規則に剥がれ、赤褐色で滑らかな樹皮に変化します。
枝: 波打つように伸びる特徴的な枝ぶりです。
葉: 互生で、長さ5 - 8cmの楕円形から長楕円形。縁には低い鋸歯があり、黄緑色で全体に毛が生えています。秋には美しく紅葉します。
花: 5 - 8月に葉腋から白い小さな花を咲かせます。花は直径2cmほどで、ナツツバキに似ていますが、より小さく葉に隠れて目立ちにくいです。
果実: 10 - 11月に濃褐色の果実が実ります。5つの稜があり先端が尖っていて、中に種子があります。果実はくちばし状に先が割れて種子を落とした後も、冬まで枝に残ります。
* 冬芽: 長卵形で平たく、淡褐色で絹毛のある5-6枚の芽鱗に包まれています。頂芽は大きく、側芽は互生します。

栽培

ヒメシャラは、庭木や公園樹として観賞用に栽培されます。剪定は3月に行うのが一般的です。高温に弱いため、夏は遮光し風通しの良い場所に置くのが適しています。寒さには強いです。病害虫としてはカイガラムシがよく発生しますが、通風を良くすることで抑制できます。

利用

その美しい樹皮と姿から、庭木や公園樹として利用されます。赤褐色の樹皮には斑紋があり、ナツツバキに似た美しさがあるため、住宅の床柱にも利用されます。

その他

ヒメシャラは、その美しい樹姿と四季折々の変化を楽しめることから、多くの人々に愛されています。特に、新緑や紅葉の時期には、その美しさが際立ちます。

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