ヒメヒゴタイ

ヒメヒゴタイ（姫平江帯）

ヒメヒゴタイ（学名：Saussurea pulchella）は、キク科トウヒレン属に属する二年草であり、特にその美しい花が注目されています。この植物は、主に日本の北海道、本州、四国、九州に生息し、また、朝鮮半島や中国、モンゴル、ロシア沿海地域にも見られます。生息場所としては、低山や山地の草原、さらに海岸草原の日当たりの良い場所が好まれます。

特徴

ヒメヒゴタイは、根が太く、紡錘形で深く伸びており、直立した茎は高さ30cmから150cmに達します。茎の上部はよく分枝し、根出葉や下部の茎に生える葉は、花が咲く頃には枯れてしまいます。そのため、中部に位置する葉が主に生存し、草質で楕円形から狭楕円形に見えることが特徴です。これらの葉は、長さが12cmから18cmとなり、羽状に深裂したり、鋸歯縁となったりします。上部の葉は全縁のものが多く、特に小型のものはすべて全縁葉が見られることがあります。

葉には腺点と短い褐色毛が生えており、葉柄の長さは3cmから6cmに達します。このため、葉の基部は茎に流れるように繋がり、狭い翼を形成することがあります。

花の特徴

ヒメヒゴタイの花期は8月から10月にかけてです。この期間になると、散房状または円錐状に多数の頭状花序が密集し、頭花は12mmから16mmの径を持つようになります。花柄はたるんでおり、長さは10mmから35mmです。総苞は長さ11mmから13mm、直径は10mmから11mmの球形または鐘形で、毛が生えています。

総苞片は8列から9列に並んでおり、狭卵形です。また、すべての総苞片の先端には淡紅紫色の付属体が存在し、中片と内片は円形、外片は小さな楕円形となっています。頭花は筒状花から成り、花冠は11mmから13mmの長さで色は紅紫色です。果実は長さ3.5mmから4.5mmの痩果で、象牙色に紫褐色の条紋と斑点が見られます。冠毛は2輪生で、外輪は1.5mm、内輪は7mmから8.5mmの長さとなります。

環境保全

ヒメヒゴタイは、その美しさから視覚的な魅力を放つ一方で、絶滅危惧II類（VU）に指定されています。日本ではその生息状況が懸念されており、保護活動が求められています。特に、環境の変化や人間の活動がこの植物に影響を与えているため、今後の保護が重要とされています。

下位分類

ヒメヒゴタイには白花の品種（シロバナヒメヒゴタイ）もあり、これは特にその特徴的な花色により区別されます。

類似の種

ヒメヒゴタイに似た種として、以下のような植物が挙げられます。

• - サドヒゴタイ（Saussurea nakagawae）：佐渡島の特産。
• - ヒナヒゴタイ（Saussurea japonica）：日本や朝鮮半島に分布し、草丈が50cmから200cmのものがあり、絶滅危惧IB類に指定されています。

ヒメヒゴタイは、日本の自然環境における美しさと生物多様性を象徴する植物で、その保全が急務とされています。

もう一度検索