ヒュンダイ・ヴェロスター

現代ヴェロスター：個性と性能を兼ね備えた3ドアクーペ

現代自動車が2011年に発売したヴェロスターは、サブコンパクトカークラスに属する、個性的な3ドアクーペです。運転席側が1ドア、助手席側が2ドアという非対称デザインが最大の特徴で、シューティングブレークのようなクーペと2ボックスハッチバックの中間的なスタイルは、見る者の目を惹きつけます。

初代ヴェロスター (FS、2011-2018年)

初代ヴェロスターは、発売当初、韓国では高級車シリーズに分類されていましたが、後に独自のブランド「PREMIUM YOUNIQUE LIFESTYLE（PYL）」に位置づけられました。スポーティな走りを目指したモデルであり、2012年にはターボエンジン搭載の「ヴェロスターターボ」が追加されました。韓国では年間18000台の販売目標が設定され、購入者にはシリアルナンバー入りのメンバーシップカードが配布されるなど、特別なモデルとして扱われました。

一方、米国ではレッドブルと共同でラリー仕様車が開発され、シカゴモーターショーで発表。米国ラリークロス選手権やX Gamesへの参戦も予定されていました。このラリー仕様車は、2.0Lターボエンジン、四輪駆動システムなど、本格的なラリーカーへと改造されていました。韓国のプロ野球球団、ロッテジャイアンツの公式リリーフカーとして使用された、屋根をカットした特別仕様車も存在します。

初代ヴェロスターは、現代自動車初のDCT（デュアルクラッチトランスミッション）搭載車種としても注目されました。当初はカタログに記載されていませんでしたが、2011年7月にDCTが追加されました。ライバル車種としては、ホンダCR-Z、サイオンtC、MINIなどが挙げられています。また、マツダRX-8のような観音開きのドアを採用しなかったのは、利便性を考慮した結果です。

2代目ヴェロスター (JS、2018-2022年)

2018年の北米国際オートショーで発表された2代目ヴェロスターは、初代の特徴であるセンター出しマフラーと左右非対称デザイン、そして現代自動車のデザインアイコンであるカスケードグリルを受け継ぎました。さらに洗練されたクーペスタイルとドライバー中心のインテリアが特徴です。

エンジンは1.4Lターボ、1.6Lターボ、2.0L自然吸気、そして高性能モデル「N」には275PSを発揮する2.0Lターボが搭載されました。トランスミッションは、エンジン種類によって6速MT、7速DCT、6速AT、8速DCTから選択可能でした。全モデルに、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備である「ヒュンダイ・スマートセンスパッケージ」が搭載されました。

しかし、韓国では販売不振により、「N」を除くモデルは2020年11月に販売終了。その後、「N」モデルも、エラントラNの発売や生産ラインの都合により、2022年6月に生産が終了しました。先代と比較して短いモデルライフでしたが、話題性は十分にありました。現在、一部の国や地域ではリース販売やレンタカーとして利用されています。

RMシリーズ：ミッドシップレイアウトのコンセプトカー

ヴェロスターをベースにしたミッドシップレイアウトのコンセプトカーシリーズ「RM」は、高性能モデル「N」の名義で開発されました。初代ヴェロスターをベースにしたRM14、RM15、2代目ヴェロスターをベースにしたRM16以降が展開され、2023年7月現在、内燃機関車であるRM19と電気自動車であるRM20eが存在します。

RM20eは、シリーズ初の電動化モデルで、ヴェロスターN TCRをベースに製作されました。810hp/960Nmという驚異的なスペックを誇り、0-200km/h加速は9.88秒を記録しています。RM20eの技術は、ヴェロスターE TCRに受け継がれ、E TCRシリーズで活躍しています。

まとめ

ヴェロスターは、その個性的なデザインとスポーティな走りで、多くのファンを魅了してきたモデルです。初代、2代目、そしてRMシリーズを通じて、現代自動車の技術力とデザイン性を示す存在であり続けています。独特のボディスタイルと高いパフォーマンスを求めるドライバーにとって、魅力的な選択肢と言えるでしょう。

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