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VisiCorp：パーソナルコンピュータ革命を牽引したソフトウェア企業

VisiCorp社は、初期のパーソナルコンピュータ（PC）向けソフトウェアにおいて、大きな功績を残した企業として知られています。特に、世界初の表計算ソフトウェアとして一世を風靡した『VisiCalc』は、PCのビジネス利用を拡大し、後のソフトウェア業界の発展に多大な影響を与えました。

VisiCorp社の起源は、Dan FylstraとPeter R. Jenningsによって1976年に設立されたPersonal Software社に遡ります。同社は当初、Jenningsが開発したコンピュータチェスプログラム『Microchess』を販売していました。対応機種は、最初はモステクノロジーのKIM-1でしたが、後にPET 2001やApple IIへと移植され、販売を拡大していきました。その後、様々なゲームやアプリケーションソフトの開発・販売を行い、着実に事業を拡大していきました。

転機となったのは、1979年の『VisiCalc』のリリースです。このソフトウェアは、それまでのPCでは困難だった表計算処理を容易にした画期的なものでした。その使いやすさと実用性から爆発的な人気を博し、PC市場の拡大に大きく貢献しました。『VisiCalc』の大成功を受け、Personal Software社は1979年に社名をVisiCorpへと改称しました。

VisiCorpは『VisiCalc』以外にも革新的なソフトウェアを開発しました。『VisiOn』はその代表的な例で、IBM PC向けの初期のGUI（グラフィカルユーザーインターフェース）の一つとして注目されました。このソフトウェアは、後のWindowsやMacintoshといったGUIベースのオペレーティングシステムの開発に影響を与えたと言われています。

VisiCorpは、Software Arts社との『VisiCalc』に関する訴訟の後、Palidan Software社に売却されました。しかし、その短い歴史の中で、VisiCorpはPC業界に革命をもたらしたと言えるでしょう。

VisiCorpには、後のIT業界を担う多くの著名な人材が在籍していました。例えば、Ed Esberはアシュトンテイト社の経営に携わり、Bill ColemanはBEAシステムズを設立、ミッチ・ケイパーはロータスと電子フロンティア財団を設立、Rich Melmonはエレクトロニック・アーツの共同設立者、Brad Templetonは初期のドットコム企業Clarinetを設立するなど、彼らの活躍はVisiCorpの技術力と人材育成力の高さを示しています。

VisiCorpは、その短いながらも輝かしい歴史を通じて、初期のPC市場を形成し、現代のIT業界の礎を築いたと言えるでしょう。その革新的なソフトウェアと優秀な人材は、後のソフトウェア開発やビジネスモデルに多大な影響を与え、現代のIT社会の基礎を形成する上で重要な役割を果たしました。VisiCorpの歴史は、単なる企業の歴史というだけでなく、PC革命の歴史そのものと言えるでしょう。

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