ビジネス・キャリア検定試験

ビジネス・キャリア検定試験とは

ビジネス・キャリア検定試験（通称：ビジキャリ）は、企業における職務遂行に必要な実務能力を評価する目的で実施される検定試験です。中央職業能力開発協会（JAVADA）が主催しており、ビジネスパーソンが自身の能力を客観的に証明する手段として、また企業が従業員の能力を評価する基準として活用されています。

試験の沿革

この試験は、1993年に労働省（現在の厚生労働省）が発足させたビジネス・キャリア制度を背景に誕生しました。事務系職種の労働者に求められる能力高度化に対応するため、段階的かつ計画的な職業能力開発を支援し、キャリアアップを促進することを目的としています。

当初は「教育訓練の成果確認試験」として、厚生労働大臣認定講座修了者等を対象に実施されていましたが、2007年8月1日より、能力評価機能の向上を目指し「ビジネス・キャリア検定試験」として新たにスタートしました。試験内容も見直され、企業の職務内容に対応したユニット構成となり、実務に即した専門知識・能力をより客観的に評価できるものとなりました。

試験区分

ビジネス・キャリア検定試験は、事務系職種を網羅し、職務・能力レベルに応じて体系化された区分（45単位）で構成されています。試験では、単に知識の有無を問うだけでなく、「実務に応用できるか」という視点が重視されています。

試験区分は以下の通りです（2016年4月現在）。

人事・人材開発・労務管理

1級：人事・人材開発・労務管理
2級：人事・人材開発、労務管理
3級：人事・人材開発、労務管理

企業法務・総務

2級：企業法務（組織法務）、企業法務（取引法務）、総務
3級：企業法務、総務

経理・財務管理

2級：経理、財務管理（財務管理・管理会計）
3級：経理（簿記・財務諸表）、経理（原価計算）、財務管理

営業・マーケティング

1級：営業・マーケティング
2級：営業、マーケティング
3級：営業、マーケティング

生産管理

2級：生産管理プランニング（製品企画・設計監理）、生産管理プラニング（生産システム・生産計画　加工型・組立型）、生産管理プラニン（生産システム・生産計画　プロセス型）、生産管理オペレーション（作業・工程・設備管理）、生産管理オペレーション（購買・物流・在庫管理）
3級：生産管理プランニング、生産管理オペレーション
BASIC級：生産管理

ロジスティックス

2級：ロジスティクス管理、ロジスティクス・オペレーション
3級：ロジスティクス管理、ロジスティクス・オペレーション
BASIC級：ロジスティクス

経営情報システム

1級：経営情報システム
2級：経営情報システム（情報化企画）、経営情報システム（情報化活用）
3級：経営情報システム

経営戦略

2級：経営戦略
3級：経営戦略

このように、分野・部門別に細分化されているため、企業は従業員の能力評価に、労働者は自身の職務遂行能力の証明に、この試験を活用できます。なお、経理2級（税務会計）とマーケティング2級（流通・サービス業）は現在廃止されています。

等級と試験内容

ビジネス・キャリア検定試験は、BASIC級から1級までの等級に分かれています。

BASIC級

対象者: 就職間もない人、内定者、就職希望者、学生など、仕事の基本を学ぶ層
内容: 仕事の全体像を把握し、職場での円滑なコミュニケーションに必要な基本的知識
形式: 真偽形式問題（○✕問題）70問
時間: 60分
受験資格: 受験制限なし
合格基準: 得点率70%以上

3級

対象者: 係長・リーダーを目指す人、担当職務を的確に遂行したい人など
内容: 職務全般に関する幅広い専門知識、上司の指示や助言に基づき、定型的業務を遂行する能力
形式: 多肢選択問題（4肢択一）40問
時間: 110分
受験資格: 受験制限なし
合格基準: 得点率60%以上

2級

対象者: 課長・マネージャーを目指す人、シニアスタッフなど
内容: 職務に関連する幅広い総合的な専門知識、グループやチームの中心として業務を遂行する能力
形式: 多肢選択問題（5肢択一、一部事例等に基づく実践的応用問題を含む）40問
時間: 110分
受験資格: 受験制限なし
合格基準: 得点率60%以上

1級

対象者: 部門長、ディレクター相当職を目指す人など
内容: 企業全体の戦略実現のための課題創造、専門知識とその応用力を用いて資源を統合・調整する能力
形式: 論述式問題3問
時間: 150分
受験資格: 受験制限なし
合格基準: 得点率60%以上

試験日程

試験は年2回、前期と後期に分けて実施されます。

前期: 受験申請：4月中旬～7月下旬、試験日：10月上旬
後期: 受験申請：10月上旬～12月中旬、試験日：2月中旬

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