ビデオディスク

ビデオディスクとは

ビデオディスクは、映像と音声の情報を記録し、再生するための円盤状のメディアの総称です。初期には様々な方式が存在しましたが、現在ではレーザー光を利用した光ディスクが主流となっています。本記事では、初期のビデオディスクから最新のBlu-rayまで、その歴史と技術的な進化について詳しく解説します。

ビデオディスクの歴史

ビデオディスクの歴史は、19世紀末にまで遡ります。初期のビデオディスクは、映画の再生を目的として開発されました。以下に、主な歴史的な出来事と技術的な進歩をまとめました。

19世紀 - 20世紀前半

1892年: フランスの発明家ジョルジュ・デムニーが、ガラスディスクにクロノフォトグラフィー写真を投影する「フォノスコープ」の特許を取得しました。
1893年: イギリスの写真家エドワード・マイブリッジが、クロノフォトグラフィーアニメーションをガラスディスクに投影するズープラクシスコープを開発しました。これがきっかけで、エジソンによる映画の発明に繋がったと言われています。
1898年: ニューヨークのカメラメーカー、E & HT アンソニーが、ガラスディスクに200個の画像を記録し、13秒の動画を再生できる「The Spiral」を発売しました。
1907年: セオドア・ブラウンが、1200個の画像を記録し、1分15秒の動画を再生できるシステムを発明しました。このシステムは「Urban Spirograph」として発売されましたが、普及には至りませんでした。
1930年代初頭: スコットランドのジョン・ロジー・ベアードが、1秒間に4フレームを再生できるPhonovisionシステムを開発しましたが、普及しませんでした。

20世紀後半

1952年: ウェスティングハウス・エレクトリック社の技術者、P.M.G・トゥーロンが、ディスクの渦状トラックに記録された映像フレームを読み取るシステムを発明しました。このシステムは、レコードからの音声と同期して組み合わせることを目的としていましたが、実用化には至りませんでした。
1965年: ウェスティングハウス・エレクトリックが、400枚の静止画像を40分間の音声と共に再生できるPhonovidシステムを開発しました。
1970年: ドイツのテレフンケン社が、12インチディスクに約8分収録できる「TeD」を開発しましたが、親会社の意向により廃止されました。
1972年: 東芝が、256x256解像度のカラー映像を再生するデジタルビデオディスクを使用しました。
1973年: 日立が15色の静止画像を再生できるビデオディスクを発表し、ソニーもビデオディスクレコーダーの原型を発表しました。
1975年: 日立が、ホログラフィック技術により映像と音声を記録するビデオディスクシステムを発表しました。このシステムは、30分のカラー映像を記録することができました。
1978年: 松下電器産業（現パナソニック）が「VISC」を開発しました。これは12インチのビニールディスクに1時間のビデオを収録できるシステムでした。同年に、MCA社とフィリップス社が共同でDiscoVisionを開発しました。これはレーザー光の反射を利用し、後にパイオニアがレーザーディスクとして商標を取得しました。
1970年代後半: Thomson-CSF社が、透過型レーザーシステムを使用した薄いフレキシブルビデオディスクシステムを開発しましたが、1981年に市場から撤退しました。
1981年: RCA社が静電容量方式の「CED」を開発し、レーザーディスクと競合しましたが、撤退しました。
1983年: 日本ビクターが静電容量方式の「VHD」を開発し、日本を中心に普及しましたが、レーザーディスクとの規格争いに敗れました。
1984年: マクドネル・ダグラス社がLaserfilmを開発しました。
1996年: Sirius Publishing社が、CD-ROMメディアを利用したMovieCDをリリースしました。これは、低品質ながらもPCで動画を再生できるものでした。
1996年: DVDがリリースされました。これは、フィリップスとソニーのMMCDと東芝のSDフォーマットのハイブリッドであり、ベータとVHSのような規格争いを避けるために３社で合意されました。

21世紀

2002年: ソニー主導のBlu-rayと、東芝主導のHD DVDが登場し、再び規格争いが起こりました。最終的にBlu-rayが勝利し、HD DVDは市場から撤退しました。
2015年: 4K UHD解像度に対応したUltra HD Blu-ray（UHD BD）がリリースされました。

ビデオディスクの分類

ビデオディスクは、再生メカニズムによって以下のように分類されます。

機械式: ディスクに物理的に接触するスタイラスを使用して再生する方式です。Phonovision、Phonovid、TeD、Viscなどが該当します。
静電容量コンタクト方式: ディスクの溝に乗った物理的なピックアップで静電容量の変化を読み取る方式です。CEDとVHDが該当します。
光ディスク: レーザー光を利用して情報を読み取る方式です。
反射式: レーザー光の反射を利用する方式です。レーザーディスク、CD、DVD、Blu-ray、UHD BDなどが該当します。
* 透過式: ディスクの反対側からレーザー光を照射し、透過した光を読み取る方式です。Thomson CSF systemやLaserfilmが該当します。

ビデオディスクの技術と規格争い

ビデオディスクの歴史は、技術革新と規格争いの歴史でもありました。特に、レーザーディスクとCED、そしてVHDの規格争いは激しく、最終的にはレーザーディスクが勝利しました。また、DVDが登場する際には、ベータとVHSのような規格争いを避けるために、企業間で合意が形成されました。しかし、Blu-rayとHD DVDの間では再び規格争いが起こり、最終的にBlu-rayが勝利しました。

まとめ

ビデオディスクは、黎明期から現在に至るまで、様々な技術革新を遂げてきました。初期の機械式、静電容量方式から、現在の光ディスク方式まで、それぞれの技術が映像と音声の記録・再生技術の発展に大きく貢献しました。ビデオディスクの歴史を振り返ることで、映像記録メディアの進化を理解することができます。

参考文献に、より詳しい情報が記載されていますので、ご興味のある方は参照ください。

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