ビュイック・アンクレイブ

アンクレイブ (ENCLAVE)

概要

アンクレイブは、アメリカの自動車メーカーであるGM（ゼネラルモーターズ）が製造し、傘下の高級ブランドであるビュイックから販売される大型クロスオーバーSUVです。広々とした室内空間と上質な乗り心地を特徴とする、ビュイックブランドにおけるフラッグシップSUVとしての位置づけを担っています。

車名の由来

車名の「ENCLAVE」は、英語で「飛び地」や、特定の集団が周囲から隔絶して暮らす「居留地」「地域」などを意味する言葉から名付けられています。

初代 (2008-2017)

初代アンクレイブは、2006年に北米国際オートショーでコンセプトモデルとして初披露されました。そのデザインは、2003年の同ショーで展示されたコンセプトカー「センティーム」の意匠を色濃く受け継いでいます。

車台には、GMが当時複数のSUVやミニバンに広く採用していた共通プラットフォーム、「ラムダプラットフォーム」が用いられました。これにより、シボレー・トラバースやGMC・アカディアといったGMの他ブランド製SUVと主要な基本構造を共有しています。

販売は、ビュイックがかつて展開していたミドルサイズSUV「レイニア」、クロスオーバーSUV「ランデヴー」、ミニバン「テラーザ」の3車種を統合した後継モデルとして、2007年5月に米国市場で開始されました。翌2008年には、グローバル戦略の一環として成長著しい中国市場への投入も果たしています。

生産は、ラムダプラットフォームを採用した他モデルと共に、ミシガン州ランシングにあるGMのランシング・デルタ・タウンシップ組み立て工場で行われました。

マイナーチェンジ (2013年モデル)

2012年4月には、ニューヨーク国際オートショーの場で、内外装を刷新した改良新型となる2013年モデルが発表されました。この改良では、当時のビュイックブランドの新しいデザインテーマが導入され、特にフロントマスクは大幅に変更されました。具体的には、当時の上級セダンであるラクロスを彷彿とさせるデザインのキセノンHIDヘッドライト、新形状のボンネットフード、ビュイックの象徴である縦基調のウォーターフォールグリルが採用されています。リア周りも、LEDテールランプやバンパーと一体化されたエキゾーストパイプなど、各部が現代的にアップデートされました。

インテリアも質感向上が図られ、センターコンソールにはビュイックの新しいインフォテインメントシステム「IntelliLink」が搭載され、コネクティビティ機能が強化されました。

安全装備面でも進化が見られ、シボレー・トラバースと同様に、衝突時に乗員間の干渉を防ぐ目的で開発された「フロントセンターエアバッグ」を世界で初めて標準装備した市販モデルの一つとなりました。これにより、乗員保護性能がさらに向上しています。

2代目 (2017-)

初代の登場から約10年を経て、2017年4月にニューヨーク国際オートショーにてフルモデルチェンジが実施され、2代目アンクレイブが公開されました。

この2代目モデルも、先代と同様にGMの大型SUV用プラットフォームを基盤としており、シボレー・トラバースと主要構造を共有しています。

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