GMC・アカディア
GMC アカディア（ACADIA）は、ゼネラルモーターズ（GM）が製造し、GMCブランドから販売されるクロスオーバーSUV（CUV）、またはSUVである。複数の世代を経て、そのサイズや位置づけ、技術要素が変化してきた。
アカディアは2006年12月にアメリカ合衆国で、翌2007年1月にはカナダで販売が開始された。当時のGMCラインナップにおいては、中型SUVのエンボイと大型SUVのユーコンの間に位置するモデルとして投入された。このモデルはGMCブランドにとって初のCUVであり、従来のトラックベースではなく乗用車を基本とするユニボディ構造と、前輪駆動（FF）をベースとしたアーキテクチャを採用した点でも、ブランドにおける新たな試みであった。
ユニボディ構造の採用により、従来のSUVよりも重心が低くなり、走行安定性の向上と横転リスクの低減が図られた。車体にはクロスカービームを含む高張力鋼が効果的に使用され、構造的な強度が高められている。アカディアの登場は、ポンティアック-ビュイック-GMCのディーラー網で販売されていた、3列シートを備えた7名または8名乗りの車種群、具体的にはGMC・サファリ（中型バン）、GMC・エンボイXL（SUV）、そしてアメリカ市場向けのポンティアック・モンタナSV6（ミニバン）を統合・代替することを目的としていた。
プラットフォームにはGMのラムダプラットフォームが採用されており、シボレー・トラバース、ビュイック・アンクレイブ、そして生産終了済みのサターン・アウトルックと兄弟車の関係にある。特にサターン・アウトルックとは、ボディシェルの大部分を共有する設計となっていた。価格設定においては、トラバースとアンクレイブの中間に位置づけられた。これらのラムダプラットフォーム採用モデルは、ミシガン州ランシングにあるランシング・デルタ・タウンシップ組立工場で生産された。
パワートレインとして搭載されたエンジンは、GMハイフィーチャーエンジンシリーズに属する3.6リッターV型6気筒である。初期のLY7型は最高出力275hp、最大トルク340Nmを発生。2009年モデルからは直噴化された改良型のLLT型に換装され、最高出力は288hp、最大トルクは366Nmへと性能が向上した。これに組み合わされるトランスミッションは、新開発された6T75型6速オートマチックトランスミッションであった。
サスペンションシステムは前後ともに独立懸架式を採用。フロントはダイレクトアクティング・スタビライザー・バーとアルミ製ナックルを備えたマクファーソンストラット式。リアには新開発のHリンク式が用いられ、コンパクトながら従来のSUVに比べてより洗練された乗り心地を実現した。駆動方式はFFとAWD（四輪駆動）の両方が用意され、ホイールとタイヤは標準で18インチ、オプションで19インチが選択可能であった。
安全装備として、2ステージ式の運転席・助手席エアバッグ、2つのサイドエアバッグ、そして頭部を保護する2つのカーテンエアバッグが搭載された。さらに、GMのテレマティクスシステムであるオンスターの第7世代が標準装備され、衝突時の緊急通報機能など、安全性と利便性を高める機能が提供された。
2012年2月には、シカゴオートショーにて2013年モデルとしてフェイスリフトを受けた改良型が発表された。この改良では、フロントマスクが2010年の北米国際オートショーに出展されたコンセプトカー「グラニット」を彷彿とさせるデザインに変更されるなど、内外装が刷新された。なお、このフェイスリフトに際して、生産終了していたサターン・アウトルックの一部の部品が流用されたことが話題となった。GMCの広報担当者もこれを認め、リアゲートガラス、スポイラー、リアクォーターパネル、リアスライドガラスなどがアウトルックと共通部品であることを明らかにしている。
初代には豪華仕様の「デナリ」グレードも設定された。2010年1月に北米国際オートショーで発表され、同年第3四半期に販売開始。デナリはFFまたはAWD、7人乗りまたは8人乗りのいずれにも設定でき、モノトーン塗装、ハニカムグリル、専用の前後デザイン、HIDヘッドランプ、クロームアクセント、専用エキゾースト、20インチの6本スポークホイールなど、内外装に多くの専用装備が奢られた。これにより、ベースモデルと比較して価格帯は大幅に高価となっていた。
2代目アカディアは、2016年1月の北米国際自動車ショーで初公開され、同年5月に発売された。このモデルは初代からボディサイズが縮小され、フルサイズCUVからミッドサイズのクロスオーバーSUVへと位置づけが変更された。
2020年モデルではビッグマイナーチェンジが実施され、デザイン変更と共にラインナップが拡充された。従来の豪華グレード「デナリ」に加え、オフロード性能を強化した「AT4」グレードが新たに設定された。また、パワートレインには燃費性能に優れる2.0リッター直列4気筒ターボエンジンが選択可能となった。オセアニア市場では、2018年から2020年まで「ホールデン・アカディア」として販売されていた。
3代目となるアカディアは、2023年の北米国際自動車ショーで発表された。このモデルは再びボディサイズを拡大し、GMCの大型SUVであるユーコンと共通のホイールベースを持つ、3列シート7人乗りのフルサイズSUVとして登場した。
プラットフォームには、同時期にフルモデルチェンジした3代目シボレー・トラバースなどと共通のVSS-Sプラットフォームが採用されている。パワートレインは刷新され、最高出力328PS（245kW）、最大トルク442Nm（326lb-ft）を発生する2.5リッター直列4気筒ターボガソリンエンジンが搭載される。インフォテインメントシステムは15インチの大型タッチスクリーンディスプレイに表示される。グレード構成は、ベースモデルの「エレベーション」、オフロード志向の「AT4」、そしてプレミアムモデルの「デナリ」の3種類が設定された。また、ゼネラルモーターズの先進運転支援システムである「スーパークルーズ」が、アカディアとしては初めて、ほとんどのモデルで利用可能となったことも特筆される点である。3代目の生産は、これまでのテネシー州から、3代目トラバースやビュイック・エンクレイブと同じミシガン州の組立工場に移管されている。
「ACADIA（アカディア）」という車名は、北米大陸東部大西洋岸に位置する歴史的な地域名に由来する。この地域は、現在のカナダ東部マリタイム・プロヴィンス（ノバスコシア州、ニューブランズウィック州など）の一部と、アメリカ合衆国メイン州東部にあたる地域である。
初代 (2007年 - 2016年)
アカディアは2006年12月にアメリカ合衆国で、翌2007年1月にはカナダで販売が開始された。当時のGMCラインナップにおいては、中型SUVのエンボイと大型SUVのユーコンの間に位置するモデルとして投入された。このモデルはGMCブランドにとって初のCUVであり、従来のトラックベースではなく乗用車を基本とするユニボディ構造と、前輪駆動（FF）をベースとしたアーキテクチャを採用した点でも、ブランドにおける新たな試みであった。
ユニボディ構造の採用により、従来のSUVよりも重心が低くなり、走行安定性の向上と横転リスクの低減が図られた。車体にはクロスカービームを含む高張力鋼が効果的に使用され、構造的な強度が高められている。アカディアの登場は、ポンティアック-ビュイック-GMCのディーラー網で販売されていた、3列シートを備えた7名または8名乗りの車種群、具体的にはGMC・サファリ（中型バン）、GMC・エンボイXL（SUV）、そしてアメリカ市場向けのポンティアック・モンタナSV6（ミニバン）を統合・代替することを目的としていた。
プラットフォームにはGMのラムダプラットフォームが採用されており、シボレー・トラバース、ビュイック・アンクレイブ、そして生産終了済みのサターン・アウトルックと兄弟車の関係にある。特にサターン・アウトルックとは、ボディシェルの大部分を共有する設計となっていた。価格設定においては、トラバースとアンクレイブの中間に位置づけられた。これらのラムダプラットフォーム採用モデルは、ミシガン州ランシングにあるランシング・デルタ・タウンシップ組立工場で生産された。
パワートレインとして搭載されたエンジンは、GMハイフィーチャーエンジンシリーズに属する3.6リッターV型6気筒である。初期のLY7型は最高出力275hp、最大トルク340Nmを発生。2009年モデルからは直噴化された改良型のLLT型に換装され、最高出力は288hp、最大トルクは366Nmへと性能が向上した。これに組み合わされるトランスミッションは、新開発された6T75型6速オートマチックトランスミッションであった。
サスペンションシステムは前後ともに独立懸架式を採用。フロントはダイレクトアクティング・スタビライザー・バーとアルミ製ナックルを備えたマクファーソンストラット式。リアには新開発のHリンク式が用いられ、コンパクトながら従来のSUVに比べてより洗練された乗り心地を実現した。駆動方式はFFとAWD（四輪駆動）の両方が用意され、ホイールとタイヤは標準で18インチ、オプションで19インチが選択可能であった。
安全装備として、2ステージ式の運転席・助手席エアバッグ、2つのサイドエアバッグ、そして頭部を保護する2つのカーテンエアバッグが搭載された。さらに、GMのテレマティクスシステムであるオンスターの第7世代が標準装備され、衝突時の緊急通報機能など、安全性と利便性を高める機能が提供された。
2012年2月には、シカゴオートショーにて2013年モデルとしてフェイスリフトを受けた改良型が発表された。この改良では、フロントマスクが2010年の北米国際オートショーに出展されたコンセプトカー「グラニット」を彷彿とさせるデザインに変更されるなど、内外装が刷新された。なお、このフェイスリフトに際して、生産終了していたサターン・アウトルックの一部の部品が流用されたことが話題となった。GMCの広報担当者もこれを認め、リアゲートガラス、スポイラー、リアクォーターパネル、リアスライドガラスなどがアウトルックと共通部品であることを明らかにしている。
初代には豪華仕様の「デナリ」グレードも設定された。2010年1月に北米国際オートショーで発表され、同年第3四半期に販売開始。デナリはFFまたはAWD、7人乗りまたは8人乗りのいずれにも設定でき、モノトーン塗装、ハニカムグリル、専用の前後デザイン、HIDヘッドランプ、クロームアクセント、専用エキゾースト、20インチの6本スポークホイールなど、内外装に多くの専用装備が奢られた。これにより、ベースモデルと比較して価格帯は大幅に高価となっていた。
2代目 (2016年 - 2023年)
2代目アカディアは、2016年1月の北米国際自動車ショーで初公開され、同年5月に発売された。このモデルは初代からボディサイズが縮小され、フルサイズCUVからミッドサイズのクロスオーバーSUVへと位置づけが変更された。
2020年モデルではビッグマイナーチェンジが実施され、デザイン変更と共にラインナップが拡充された。従来の豪華グレード「デナリ」に加え、オフロード性能を強化した「AT4」グレードが新たに設定された。また、パワートレインには燃費性能に優れる2.0リッター直列4気筒ターボエンジンが選択可能となった。オセアニア市場では、2018年から2020年まで「ホールデン・アカディア」として販売されていた。
3代目 (2024年 - )
3代目となるアカディアは、2023年の北米国際自動車ショーで発表された。このモデルは再びボディサイズを拡大し、GMCの大型SUVであるユーコンと共通のホイールベースを持つ、3列シート7人乗りのフルサイズSUVとして登場した。
プラットフォームには、同時期にフルモデルチェンジした3代目シボレー・トラバースなどと共通のVSS-Sプラットフォームが採用されている。パワートレインは刷新され、最高出力328PS（245kW）、最大トルク442Nm（326lb-ft）を発生する2.5リッター直列4気筒ターボガソリンエンジンが搭載される。インフォテインメントシステムは15インチの大型タッチスクリーンディスプレイに表示される。グレード構成は、ベースモデルの「エレベーション」、オフロード志向の「AT4」、そしてプレミアムモデルの「デナリ」の3種類が設定された。また、ゼネラルモーターズの先進運転支援システムである「スーパークルーズ」が、アカディアとしては初めて、ほとんどのモデルで利用可能となったことも特筆される点である。3代目の生産は、これまでのテネシー州から、3代目トラバースやビュイック・エンクレイブと同じミシガン州の組立工場に移管されている。
車名
「ACADIA（アカディア）」という車名は、北米大陸東部大西洋岸に位置する歴史的な地域名に由来する。この地域は、現在のカナダ東部マリタイム・プロヴィンス（ノバスコシア州、ニューブランズウィック州など）の一部と、アメリカ合衆国メイン州東部にあたる地域である。
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