ビラ・スタンモーア夜戦

ビラ・スタンモーア夜戦の詳細

ビラ・スタンモーア夜戦は、太平洋戦争の真っただ中である1943年の3月5日から6日未明にかけて、ソロモン群島のニュージョージア諸島で発生した海戦です。この戦闘は、アメリカ海軍と日本海軍の間に繰り広げられ、特に夜間の水上戦闘として知られています。アメリカ側が「ビラ・スタンモーア夜戦」と名付けたこの戦闘は、日本側ではその敗北から正式な名称が付けられないままでした。

背景と戦闘の準備

1942年11月まで、ガダルカナルの戦いが進行している中、アメリカ軍は日本軍がニュージョージア島のムンダで航空基地を建設していることを把握しました。ムンダはガダルカナル島から175マイル（約280 km）離れており、アメリカ軍の進撃や再奪回作戦にとって脅威となる位置でした。

1943年に入ると、アメリカ軍はムンダおよびコロンバンガラへの艦砲射撃を強化し、同時に爆撃作戦を実施しました。この時期、日本軍もガダルカナル島からの撤収後、ニュージョージア島の防衛を強化するため、輸送任務を行っていました。

主要な戦力と進出

日本海軍は、南東方面艦隊の指揮下にある外南洋部隊を着任させており、第八聯合特別陸戦隊がニュージョージア島での防御を担当しました。特に、駆逐艦「村雨」と「峯雲」は補給任務のためコロンバンガラ島へ向け出撃します。対するアメリカ海軍は、戦艦や駆逐艦を投入した第68任務部隊を編成し、夜間砲撃任務に従事しました。

交戦とその経過

夜戦が始まると、日本の駆逐艦「村雨」と「峯雲」は、クラ湾に接近した瞬間、レーダーを駆使するアメリカ艦隊に発見されました。23時を過ぎた頃、アメリカ側は艦砲射撃を開始し、瞬く間に日本艦隊に対する攻撃が展開されました。村雨は激しい攻撃を受け、78発の砲弾を被弾し沈没へと追い込まれ、付随して峯雲も巻き込まれる形で大火災となり、数分のうちに海に沈んでしまいました。

戦闘の結果とその影響

この戦闘で村雨と峯雲の沈没は、日本にとって大きな損失となりました。生存者はわずかで、多くの乗員がその命を落としました。戦後、この戦闘はアメリカ海軍の夜間戦闘能力を向上させたと同時に、敵に奇襲をかけられる罠として、両軍に重要な教訓をもたらしました。さらに、この戦闘によって以後、日本軍は戦略再考を余儀なくされることとなり、戦闘の教訓は次なる作戦に生かされることとなります。

生還と救助作業

3月6日の未明、生存者たちはコロンバンガラ島に向かって泳ぐ中、次々と救助されました。村雨の乗組員134名と峯雲の乗員45名が奇跡的に生還したものの、戦闘の惨事が示す通り、敵対行為がいかに厳しいものであったかが如実に表れています。これらの生存者らは、直ちにラバウルへの帰還を果たし、戦闘の結果を報告することになりました。

今後、アメリカ海軍は艦艇の夜間作戦でのレーダー能力を強化し、さらに効果的な夜戦戦術を確立していくことになります。ビラ・スタンモーア夜戦は、太平洋戦争における航海戦略の新たな局面を提示した重要な一戦であり、その記録は後世に伝えられていくこととなります。

もう一度検索