ビルシュタイン

ビルシュタイン：世界に名だたる自動車用ダンパーメーカー

ドイツ、ノルトライン＝ヴェストファーレン州エンネペタルに本社を置くビルシュタイン社は、ティッセンクルップグループ傘下の老舗自動車用ダンパーメーカーです。1954年の創業以来、高品質なダンパーを世界中の自動車メーカーに供給し続けてきました。

スポーツ性能と純正採用：その両立

ビルシュタイン社といえば、スポーティな走りを求めるドライバーに人気の高いアフターマーケットパーツとしてのイメージが強いでしょう。実際、日本市場においても、スポーツタイプやSUVに純正採用されたり、スポーツ走行向けのチューニングダンパーが多数販売されています。しかし、ビルシュタイン社の製品は、スポーツカーだけでなく、メルセデス・ベンツなどの高級セダンにも純正採用されているなど、その活躍の場は多岐に渡ります。ポルシェやフェラーリといったスーパーカーへの採用実績も、同社の高い技術力を物語っています。

多様なダンパーテクノロジー

一般的にビルシュタインのダンパーといえば、高圧ガス封入式の単筒式、またはド・カルボン式が知られています。しかし、純正採用車種の中には複筒式ダンパーも多数存在します。また、黄色いシェルケースが印象的ですが、純正採用品は黒色のものも多く、外観だけではビルシュタイン製品と識別できない場合もあります。ただし、日本市場で純正採用されているスポーツタイプの車両では、ビルシュタイン採用を積極的にアピールしているケースがほとんどです。

ビルシュタインの歴史：技術革新の歩み

1954年、ハンス・ビルシュタインがド・カルボン博士の高圧ガス封入式ダンパーの実用化に成功したことが、ビルシュタイン社の歴史の始まりです。1957年には、このダンパーがメルセデス・ベンツに採用され、その高い性能が証明されました。

1967年には、ニュルブルクリンク24時間レースにおいて、ビルシュタイン製ダンパーを搭載したポルシェ907とポルシェ910が、排気量無制限クラスで総合優勝を飾りました。この偉業は、ビルシュタインダンパーの卓越した性能を世界中に知らしめることとなりました。これらのポルシェは、2リッター水平対向6気筒エンジン、もしくは2.2リッター水平対向8気筒エンジンを搭載していました。

1995年には、親会社であるティッセンクルップ・ビルシュタイン社が、ビルシュタインR-2000ブランドでエンジン洗浄システムなどのケミカル製品事業へ進出しました。2007年にはメーカーロゴがリニューアルされています。

日本におけるビルシュタイン

日本では、一部の国産車に純正採用されているほか、株式会社阿部商会が正規総代理店としてアフターマーケットパーツを販売しています。さらに、株式会社エナペタル、BSCフジノ、BSCブロケイドの3社が正規ビルシュタイン・サービスセンターとして、メンテナンスやオーダーメイド製品の製作を行っています。ビルシュタインR-2000ブランドのケミカル製品は、株式会社ジャビスが日本総代理店として展開しています。

ビルシュタイン社は、創業以来、技術革新を続け、自動車業界に貢献し続けています。これからも、高性能なダンパーを提供し続け、ドライバーの走りを支える存在であり続けるでしょう。

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