ビルフィッシュ (潜水艦)

ビルフィッシュ (USS Billfish, SS-286)

ビルフィッシュは、アメリカ海軍に所属するバラオ級潜水艦の一隻です。その名はカジキやダツなど、あごの長い魚を総称する言葉に由来しています。艦の歴史は1942年7月、メイン州キタリーのポーツマス海軍造船所で起工されたことから始まります。1943年4月20日に正式に就役し、艦長はフレデリック・C・ルーカス・ジュニア少佐が務めました。就役後、ビルフィッシュはオーストラリアに派遣され、8月1日にブリスベンに到着しました。

哨戒任務と戦功

第1、第2の哨戒 1943年8月 - 12月

ビルフィッシュは最初の哨戒を8月12日に開始し、南シナ海へ向かいました。トレス海峡を経由してダーウィンに寄港し、遂に哨戒区域に到達します。8月29日にはバラバク海峡でタンカーを攻撃し、成功を収めました。9月8日には5隻の輸送船団を見つけ、レーダーを用いて攻撃を実施。1隻の輸送船を撃破と判定されました。しかし、11月11日には艦艇による爆雷攻撃を受け、艦は大きな損傷を受けます。乗組員の大半が負傷しましたが、チャールズ・ラッシュ中尉が艦の指揮を執り、緊急修理を行いながら任務を続行しました。最終的に11月28日には、340船団攻撃で輸送船を撃沈する成果を上げ、12月24日にフリーマントルに帰投しました。

第3、第4の哨戒 1944年1月 - 6月

1944年1月19日、ビルフィッシュは3回目の哨戒を開始。2月には海上トラックを攻撃し、一定の成功を収めます。続く4回目の哨戒では、マリアナ諸島方面へ。そして5月21日に連絡艦を攻撃し、たとえ一部が沈没しなかったものの、その後も8,500トン級の輸送船を撃沈するなどの戦果を挙げました。これらの哨戒を経て、6月13日に真珠湾に帰投しました。

第5、第6の哨戒 1944年7月 - 11月

ビルフィッシュは7月9日に日本近海へ向かいました。攻撃は行われたものの、思うような成果を得ることはできませんでした。それでも、10月に入ると再び出撃し、輸送船団への攻撃で複数の貨物船を撃沈したと報告されました。その後、11月27日に真珠湾に帰投しました。

第7、第8の哨戒 1945年4月 - 8月

4月24日からビルフィッシュは7回目の哨戒をはじめ、日本近海でのパイロット救助任務が含まれていました。5月26日には長崎近海で第七寿丸を撃沈します。6月にはトロール船への攻撃を続行し、数隻を撃沈。最後の哨戒を8月15日に迎え、敗戦までの任務を全うしました。ビルフィッシュは戦時中に8回の哨戒を行い、合計で3隻の貨物船と5隻の小艦艇を撃沈したと認定されています。

戦後の活動

戦後、ビルフィッシュは真珠湾に戻り、大西洋へ移動するよう命じられました。ニューオーリンズに到着後、約9ヶ月にわたって訓練や演習に従事しました。1946年には不活性化が行われ、その後は予備役として使用されます。1968年には除籍され、1971年にはスクラップとして処分されました。ビルフィッシュの艦歴は、第二次世界大戦において顕著な戦果を上げたという点で今なお語り継がれています。

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