ダツ

ダツ（駄津、啄長魚）

ダツはダツ目ダツ科に属し、その英名はニードルフィッシュです。狭義には、Strongylura anastomellaという一種の和名を指しますが、総称としては同科に属する多くの魚を含む概念です。現在、世界中の熱帯や温帯地域にはおよそ32種のダツが存在しており、日本にはそのうち4属、8種が分布しています。

日本にいるダツ類は主に沿岸の浅い海域に生息しており、一部は淡水域や汽水域に適応した種類も見られます。ダツの最も顕著な特徴は、その細長い体形です。特に顎が前方に長く、針のようにとがっているため、英語のニードルフィッシュという名前が付けられました。顎はわずかに湾曲し、後方では完全には閉じられないのが特徴です。また、鋭い歯が生えており、捕食者としての適応を果たしています。

外見的特徴としては、背中側は青色で体側から腹面にかけて銀白色に変化します。ひれは小さく、胸びれを除いた他のひれは体の後半部分に集中しています。ダツの骨は青色や緑色をしており、一部の人々には不快感を与えることがありますが、肉自体は半透明で白色をしています。

ダツはまた、高速で泳ぎ、主に小魚を捕食する際には鋭い感覚を持っています。特に、捕食の際には小魚の鱗が反射する光に引き寄せられ、急速に突進する特徴があります。このため、暗い海にいるダツは、光を嫌い、または興味を持って急接近することがあります。そのため、夜間にダツが生息する場所にいると、思わぬ事故に巻き込まれることもあります。実際、ダツが人間に突き刺さる事故が確認されており、沖縄ではサメと同様に危険視されています。万一、ダツが体に刺さった場合は、無理に抜かずに魚を殺し、病院に行くことが推奨されています。

繁殖期は初夏で、藻場に産卵します。卵の直径は約2〜3mmで、形は球形で藻類に絡まるように発生します。このような特性から、ダツは沿岸漁業でも頻繁に漁獲されており、釣りや定置網、刺し網などの手法が用いられます。ただし、取り扱いには注意が必要で、顎や歯は非常に鋭いです。

食味には若干の個体差があり、特に美味とはされていませんが、脂肪の少ない白身なので、刺身や唐揚げ、塩焼きなどで料理としても利用されます。ダツの代表的な種類を見てみると、以下のようなものがあります：

• - ダツ (Strongylura anastomella) - 約1mに成長し、頭部の鱗が小さいことで他の種と区別されます。
• - リュウキュウダツ (S. incisa) - 約70cmで、頭部の鱗が大きい点が特徴です。
• - ハマダツ (Ablennes hians) - 最大で1.2m、暗い横しま模様を持っています。
• - ヒメダツ (Platybelone argalus) - 中でも小型の種で、尻びれが背びれより前に配置されています。
• - テンジクダツ (Tylosurus acus) - 約1m、下顎に角のような突起を持つことがあり、多様な環境に分布しています。
• - オキザヨリ (T. crocodilus) - 最大で1.3mに達し、青い横しまが特徴です。

ダツはまた、地域によってさまざまな別名がつけられています。例えば、マルダツ、ダス、アオサギ、シジャーなどが存在し、その呼称は地域文化を反映しています。ダツはその特異な生態や外見から、興味深い魚類として研究されています。

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