ピアチェンツァの戦い

ピアチェンツァの戦い：オーストリア継承戦争における激戦

ピアチェンツァの戦いは、1746年6月16日にオーストリア継承戦争の一環として、イタリア北部のピアチェンツァ近郊で繰り広げられました。ヨーゼフ・ヴェンツェル・フォン・リヒテンシュタイン率いるオーストリア軍と、フランス＝スペイン連合軍が激突し、結果としてオーストリア軍が勝利を収めました。

戦いの背景

1745年、オーストリア軍とサルデーニャ王国軍が別々に作戦行動を取る中、サルデーニャ軍がバッシニャーナの戦いで敗北。これにより、フランス＝スペイン連合軍は次の戦略を検討する必要に迫られました。スペインは当初、トリノまたはミラノの占領を企図しましたが、フランスがサルデーニャ王カルロ・エマヌエーレ3世との交渉を開始したため、ミラノ占領が現実的な選択肢となりました。スペイン軍はロンバルディアへの侵攻を開始し、ミラノは抵抗することなく降伏。年末までに、ロンバルディアの大部分がスペインの支配下に入りました。

1746年初頭、連合軍はマントヴァを除くロンバルディア全域と、サルデーニャ王国領であったサヴォイア公領の約5分の4を占領。フランスはカルロ・エマヌエーレ3世をオーストリアとの同盟から離脱させようと画策し、同時にアレッサンドリアを包囲しました。一見すると、スペインのフェリペ王子がパルマ公国を確保したように見えました。

しかし、1745年12月25日にプロイセンとオーストリアの間でドレスデン条約が締結されたことが、イタリア戦局に大きな影響を与えます。ドイツでの戦いが終結したことで、オーストリア軍は兵力をイタリアに集中させることが可能になったのです。

戦いの経過

フランスとの交渉を続けながらも、オーストリアとの同盟を維持する方が有利と判断したカルロ・エマヌエーレ3世は、オーストリア軍の増援が到着するまで時間を稼ぐため、交渉を引き延ばしました。そして、オーストリア軍が集結すると、サルデーニャ軍はアスティとアレッサンドリアのフランス駐留軍に向けて進軍を開始。アスティを攻撃し、駐留軍を降伏させました。

アスティ駐留軍の降伏はフランス軍の士気を低下させ、マイユボワ元帥の軍勢は兵力を大きく失いました。オーストリア軍は巧妙な行軍でスペイン軍を各地から撤退させ、パルマ、レッジョ、グアスタッラなどを相次いで占領。スペイン軍はフランス軍にピアチェンツァへの撤退と合流を要請しました。

オーストリア軍の兵力が連合軍を上回っていたため、スペイン軍を率いるガージェ伯爵は、オーストリア軍の騎兵突撃を阻止し、反撃の機会をうかがうための防御線を構築。連合軍はピアチェンツァに集結し、兵力は4万人に膨れ上がりました。しかし、食料の調達は困難を極めました。

オーストリア軍は連合軍の哨戒を攻撃し、食料を奪取するなど、着々と準備を進めていました。そして6月16日、オーストリア軍の砲撃を皮切りに戦闘が開始。連合軍はオーストリア軍の戦列に突撃しましたが、フランス軍は進軍路を誤り、オーストリア軍の猛攻を受けました。一方、ガージェ伯爵率いるスペイン軍はオーストリア軍の戦列に食い込みましたが、オーストリア騎兵の投入により崩壊。スペイン軍はピアチェンツァに向けて撤退し、オーストリア軍が追撃しました。

戦いの結果とその後

14時には戦闘は終結し、連合軍はイタリア戦役における望みをほぼ失いました。オーストリア軍は約3,400人の損害を出したのに対し、連合軍の損害は約13,000人に上りました。戦闘後、連合軍はピアチェンツァから撤退し、オーストリア＝サルデーニャ軍の追撃を受けながらジェノヴァ共和国へと退却しました。

ピアチェンツァの戦いはイタリア戦役の帰趨を決定づけるものではありませんでしたが、オーストリア軍の優位を確立し、その後の戦局に大きな影響を与えました。この勝利に乗じてオーストリア軍はプロヴァンスへの侵攻を試みましたが、これは失敗に終わっています。

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