ピアノソナタ第2番 (シューマン)

ロベルト・シューマン ピアノソナタ第2番 ト短調 作品22

ロベルト・シューマンのピアノソナタ第2番ト短調作品22は、1833年から1838年にかけて作曲され、1839年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版されました。この作品は、シューマンが29歳の時に完成させたもので、ライプツィヒに住む友人でピアニストのヘンリエッテ・フォークトに献呈されました。しかし、彼女は出版後まもなく結核で亡くなっています。

このソナタは、シューマンが作曲した3つのピアノソナタの中で最後に完成したものです。構成は、前作（第1番）と同様に、快速な第1楽章、緩徐楽章、スケルツォ楽章、急速な終楽章という伝統的な4楽章構成を踏襲しています。演奏時間は約16分と、3曲の中で最も短いのが特徴です。

各楽章の詳細

第1楽章: So rasch wie möglich（できる限り速く）

ト短調、4分の2拍子、ソナタ形式で構成されています。演奏記号の通り、極めて速いテンポで演奏されることが求められます。左手には10度音程が登場し、次第に速度を上げるなど、高度な演奏技術が要求されます。

第2楽章: Andantino

ハ長調、8分の6拍子、三部形式です。穏やかな緩徐楽章で、三部形式と変奏曲の要素を兼ね備えています。この楽章は、シューマンが1828年に作曲した歌曲「秋に」(Im Herbste)を改作したものです。

第3楽章: Sehr rasch und markiert（非常に速く、はっきりと）

ト短調、4分の3拍子で、64小節の簡潔なスケルツォ楽章です。中間部にシンコペーションを挟むなど、若きシューマンの技巧が凝らされています。

第4楽章: Rondo: Presto

ト短調、4分の2拍子、ロンド形式です。オクターブ奏法のトレモロが主題となっています。

この楽章には、初稿として「プレスト」と題された別の版が存在します。この初稿は、16分の6拍子で、十度以上の跳躍やラフマニノフのような広い和音が多用された難曲でした。しかし、クララの提案によりシューマン自身が撤回し、彼の死後、1866年にブラームスによって出版されました。最終的な完成版は1981年に出版され、ロナルド・トゥリーニなどによって録音されています。

その他

シューマンは、ベートーヴェンに倣い、演奏記号を母国語（ドイツ語）で表記しています。これにより、演奏者はより直接的に作曲者の意図を感じ取ることができます。

関連作品

この作品は、漫画「のだめカンタービレ」で主人公の野田恵（のだめ）がマラドーナ・ピアノ・コンクールで演奏したことで知られています。

外部リンク

ピアノソナタ第2番の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
プレストト短調 (終楽章の初稿)の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
ピアノソナタ第2番 - ピティナ・ピアノ曲事典
第1楽章の指使いについて

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