ピエール＝シモン・ラプラス

ピエール・シモン・ラプラス

ピエール・シモン・ラプラス（1749年3月23日 - 1827年3月5日）は、フランスの数学者、物理学者、天文学者としての名声を持つ人物で、その影響は今日のさまざまな科学分野に及んでいます。彼の主な業績としては、古典力学の名著「天体力学概論」と「確率論の解析理論」が挙げられます。これらの業績により、1789年にはロンドン王立協会のフェローに選出されました。

業績

ラプラスは、天文学や力学、さらには工学の分野における数々の理論的発展に寄与しました。彼の名前を冠した用語も多く、「ラプラシアン」や「ラプラス方程式」が有名です。また、「カント-ラプラスの星雲説」にもその名が残っています。

力学と天文学

「天体力学概論」は1799年から1825年にかけて全5巻が出版された大作で、剛体や流体の運動、地球の形状、潮汐の理論などを広範囲にわたって扱っています。ラプラスは、これらの問題を解決するために多くの微分方程式を使用し、特に誤差評価の方法論を発展させ、確率論へと応用しました。

数学

ラプラスはまた、ラプラス変換の基礎を築きました。彼は1780年に自著で、複数の未知数を持つ偏微分方程式を単一の未知数を持つ方程式に変換する手法について論じました。この変換方法は、後に電気技師オリヴァー・ヘヴィサイドによって独自に発見され、微分方程式の代表的な解法として広まりました。1950年代には、このラプラス変換を使ってシステムの解析と制御が行われ、特にPID制御として知られる方法に結びつきました。

統計学と決定論

ラプラスは現代のベイズ統計学の先駆者としても知られています。彼が確率論に関連する理論を構築したため、ベイズの定理はラプラスに端を発するとされています。また、ラプラスは決定論者でもあり、「全ての事象は過去の出来事に基づき、未来は予測可能である」という見解を持っていました。彼の考えでは、宇宙のすべての物質の状態がわかれば、未来のすべての現象を計算することが可能だとされました。

国際度量衡委員会への貢献

ラプラスは国際度量衡委員会のメンバーとしても活動し、長さの基準を定めるために地球の北極点から赤道までの子午線の弧長を測定し、その1000万分の1を1メートルの基準とすることを提案しました。この成果は1983年まで用いられたメートルの定義の基礎となりました。

政治活動

革命期のフランスで生きたラプラスは、晩年には政治家としての役割も果たしました。1799年にはナポレオン・ボナパルトの統領政府で短期間内務大臣を務め、その後も元老院議員として王政復古に貢献しました。

彼の業績は、数学、物理学、天文学など多岐にわたっており、現代科学における影響は計り知れません。

もう一度検索