ピサロ歩兵戦闘車

ピサロ歩兵戦闘車の概要

ピサロ歩兵戦闘車（Pizarro infantería combate vehículo）は、スペインとオーストリアが協力して開発したASCOD（Austrian-Spanish Cooperative Development）プログラムの一環として、スペイン陸軍向けに特化された歩兵戦闘車です。この車両は、厳しい戦闘環境における歩兵の支援を目的とし、高度な技術と最新の装備が施されています。

開発の歴史

ピサロの開発は1980年に始まり、オーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ社とスペインのサンタ・バルバラ社との協定がきっかけとなりました。最初の試作車両であるPT01は1990年に完成し、重量21トンで500馬力のペガソ社製ディーゼルエンジンを搭載していました。その後、1992年には重量26トン、600馬力の2番目の試作車PT02が完成しました。

3番目の試作車PT03はPT01を改修し、片側の転輪が1つ追加され、計7個の転輪を備えました。さらに、1994年には第4の試作車PT04が完成し、1996年にはスペイン陸軍が「ピサロ」として、1999年にはオーストリア陸軍が「ウラン」として採用しました。

スペインでは歩兵戦闘車型として123両、指揮車型として21両が導入され、オーストリアでも112両のピサロが配備されました。

装甲性能

ピサロの車体と砲塔は、圧延防弾鋼板による全溶接構造で成り立っており、特に前面装甲板については60度の傾斜が設計に組み込まれており、14.5mm重機関銃弾に対して高い防御力を誇ります。また、車体の形状はレーダーや赤外線の反射を最小限に抑えることを考慮して設計されています。

さらに、砲塔および車体の前方と側面には2段階の増加装甲が装着でき、乗組員自身が選択肢を持つという柔軟性があります。スペイン陸軍に供給される増加装甲は、サンタ・バルバラ社製の爆発反応装甲が使用されているとされています。

バリエーション

ピサロは様々な用途に応じた派生型が存在しており、その中でもASCOD105は軽戦車バージョンとして知られています。このように、ピサロは幅広い機能を持つ多様な軍用車両として活用されています。

まとめ

ピサロ歩兵戦闘車は、スペインとオーストリアの技術が融合した高性能な装甲車両です。複数の試作車を経て、現場での要求に応じた強靭な防御性能と、様々な装備の選択肢を兼ね備えています。これにより、ピサロは現代の戦闘における重要な戦力として位置付けられています。

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