ピストゥ

ピストゥ：プロヴァンスの香り豊かな冷たいソース

ピストゥ(pistou)は、フランス南東部、プロヴァンス地方を代表する冷たいソースです。新鮮なバジルとニンニクの香りが食欲をそそる、シンプルながら奥深い味わいが特徴です。

材料と製法

基本となる材料は、ニンニク、新鮮なバジル、そして良質なオリーブオイルです。近年では、パルメザンチーズやペコリーノといった硬いチーズを加えるレシピも広く見られるようになりました。伝統的な製法では、材料を乳鉢で丁寧にすりつぶして作りますが、現代ではフードプロセッサーを使用する家庭も多いでしょう。

語源と歴史

ピストゥという名前は、オック語のプロヴァンス方言に由来し、「叩き潰す」という意味を持ちます。これは、伝統的な製法が乳鉢を用いたすりつぶしであることに由来しています。ピストゥは、イタリアのリグーリア州のペスト・ジェノヴェーゼと深い繋がりを持っています。ペスト・ジェノヴェーゼもバジルをベースにしたソースですが、ピストゥとの違いは、松の実を使用するかどうかです。ピストゥは松の実を使用しない点が大きな特徴となっています。

ピストゥの使い方

ピストゥは、様々な料理に用いられる汎用性の高いソースです。最も一般的な使い方は、ミネストローネ風のスープである『スープ・オー・ピストゥ』です。このスープは、野菜をたっぷり煮込んだ、滋味深い味わいが魅力です。ピストゥは、スープを仕上げる直前に加えられ、バジルの爽やかな風味とオリーブオイルのコクが、スープ全体に広がります。

チーズの種類は地域によって異なり、パルメザンチーズが用いられることもあれば、グリュイエールチーズや、羊乳から作られるペコリーノチーズが使われることもあります。いずれの場合も、熱いスープの中で溶けて伸びにくいチーズが好まれます。スープだけでなく、パスタソースとして使用したり、パンに塗って食べるなど、様々なアレンジが可能です。

ピストゥと似たソース

ピストゥと似たソースとしては、南米のチミチュリや、フランスのペルシヤードなどが挙げられます。いずれもハーブをベースとしたソースですが、使用するハーブの種類や、その他の材料、そして味わいはそれぞれ異なります。ピストゥは、その独特の風味とシンプルな材料から、プロヴァンス地方の食文化を象徴するソースと言えるでしょう。

参考文献

Soupe au Pistou, Wolfgang Puck
Soupe au Pistou, Paula Wolfert

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