ピタンガ

ピタンガ (Eugenia uniflora)

ピタンガはフトモモ科に属する常緑の低木で、学名はEugenia unifloraです。この植物はトゥピ語の "pi'tãg"（赤い）に由来し、南米の熱帯地方を原産としています。別名としてスリナム・チェリーやブラジリアン・チェリー、カイエン・チェリーなどがありますが、果物として食用に利用されています。

特徴

ピタンガの成長は比較的遅く、最大で約8メートルの高さに達します。葉は光沢のある濃い緑色で、わずかに赤みを帯びるのが特徴です。この葉にはピタンギーナという成分が含まれており、これはキニーネの代用品として用いられることがあります。一般的に、ピタンガの花は芳香を放ち、白色で直径は2〜3センチメートル程度です。果実は年に数回つき、熟すと赤色になり甘さを増しますが、未熟なものは松脂のような強い匂いを放ちます。

この果実はビタミンC、リン、カルシウムを豊富に含み、生食のほか、ジュースやジャム、ゼリー、アイスクリーム、果実酒など様々な食品に加工されます。しかし、果皮が薄いため、長期間の保存には向かず、日本に輸送されることは非常に稀です。

繁殖力

熱帯地域では、ピタンガは庭木や生垣として広く植えられています。種から容易に増やすことができるため、バミューダ諸島では制御が困難なほど繁殖しています。また、日本の沖縄州でも着実に生息域が拡大しています。さらに、ピタンガは-3℃まで耐える寒さに強く、病害虫や乾燥にも比較的強いため、本州の温暖な地域でも増加が期待されています。

同じフトモモ科に属するテリハバンジロウ（ストロベリーグアバ）は、世界の侵略的外来種ワースト100にリストアップされていることから、ピタンガに関しても注意が必要です。

翻訳語

ピタンガは多くの言語で異なる呼称があります。

• - インドネシア語: asam selong
• - 英語: Surinam cherry, Brazilian cherry
• - ポルトガル語: pitanga
• - マレー語: cermai belanda（オランダのアメダマノキを指す）

まとめ

総じて、ピタンガはその風味豊かな果実に加え、多様な料理への応用可能性から注目される果樹です。また、庭木や生垣としての利用も広まりを見せており、熱帯環境での適応力や繁殖力から、その存在感は今後ますます強まると予測されます。

もう一度検索