ピッツバーグ・ペンギンズ

ピッツバーグ・ペンギンズ

ピッツバーグ・ペンギンズは、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグを拠点とする、北米プロアイスホッケーリーグ（NHL）に加盟するチームです。

歴史

ペンギンズのルーツは、かつてAHLで成功を収めたフランチャイズに遡ります。1967年、NHLがチーム数を倍増させるエクスパンションの一環として、ペンギンズは新たにリーグに加わりました。この時期に加盟したチームは、既存の強豪「オリジナル・シックス」の有力選手を獲得できないという大きな制約がありました。そのため、ベテラン選手であるアンディ・バスゲイトやレオ・ボアヴァンなどを除けば、創設メンバーの多くはマイナーリーグから昇格した選手で構成されていました。初年度は西部地区で2位と健闘しましたが、わずか6ポイント差でプレイオフ進出を逃しました。

バスゲイトはチームの得点を牽引しましたが、彼もボアヴァンも間もなく引退の時を迎えます。ケン・シンケル、キース・マクレアリー、ブライアン・ワトソン、ゴーリーのレス・ビンクリーといった選手はいましたが、選手層は薄く、ペンギンズの初期7年間は5度もプレイオフ進出を逃すなど、成績は低迷しました。

1970年には、チームに悲劇が訪れます。当時チーム3位の得点を挙げていたルーキーセンター、ミシェル・ブリエールが自動車事故で重傷を負い、1年間の入院生活の後、帰らぬ人となりました。

1970年代中盤、チームはシル・アップス・ジュニア、ローウェル・マクドナルド、ジーン・プロノボスト、リック・キーホー、ピエール・ラローシュ、ロン・ショックといったフォワードと、ロン・スタックハウス、デイブ・バロウズらのディフェンス陣を擁し、高い攻撃力を誇りました。しかし、守備力の不足とゴーリーの課題が響き、プレイオフで目覚ましい結果を残すことはできませんでした。

1980年代初頭は、リック・キーホーに加え、スターディフェンスのランディ・カーライル、得点力のあるポール・ガードナー、マイク・ブラードらが所属していましたが、チームは低迷期に入ります。1983年、1984年とリーグ最下位に沈みますが、この苦難が大きな転機をもたらします。1984年のドラフトで、将来NHL屈指の名プレイヤーとなる「神童」マリオ・ルミューを全体1位で指名したのです。

ルミュー加入後も、チームはその後4年間プレイオフ進出を逃し続けますが、1988-1989シーズンにはルミューが得点王を獲得し、チームも変化を見せます。ルミューの力を最大限に引き出すため、エドモントン・オイラーズからスーパースターディフェンスのポール・コフィーを獲得したほか、ボブ・エリー、ケヴィン・スティーブンス、ロブ・ブラウン、ジョン・カレンといった得点力のある選手を相次いで補強。これにより、チームはプレイオフに進出し、第2ラウンドまで勝ち上がりました（フィラデルフィア・フライヤーズに敗退）。

そして、1990-1991シーズン、ペンギンズはNHLの頂点に立ちます。ドラフトでチェコの若き才能ヤロミール・ヤーガーを獲得。1990年代、ヤーガーとルミューのコンビはリーグ屈指の強力なフォワードラインとして知られるようになります。スティーブンス、コフィーに加え、マーク・レッキ、大型トレードで獲得したスターセンターのロン・フランシス、ゴーリーのトム・バラッソといった面々が揃い、チームはリーグ最強へと変貌しました。スタンレーカップ決勝ではミネソタ・ノーススターズを破り、初優勝を飾ります。翌シーズン、チームはボブ・ジョンソンヘッドコーチを癌で失う悲劇に見舞われますが、伝説的な指揮官スコッティ・ボウマンが後を引き継ぎ、チームはスタンレーカップ連覇という偉業を達成しました。

1993年、再び病がチームに影を落とします。ルミューがホジキン病と診断されたのです。しかし、ルミューは診断からわずか2ヶ月でリンクに戻り、世界中に感動を与えました。チームもこの困難を乗り越え、56勝21敗7引き分けという好成績を収め、リーグ最高ポイントチームに与えられる会長賞を初受賞しました。レギュラーシーズンでの成功とは裏腹に、プレイオフでは第2ラウンドでニューヨーク・アイランダーズに敗退しました。

1990年代後半も、ペンギンズは強豪であり続けましたが、高額な選手年俸が財政を圧迫し、チームは破産寸前に追い込まれます。1997年に一度引退していたルミューは、破産手続き中のチームを引き継ぐため、自身の給与債権などを繰り延べ、オレゴン州ポートランドへのフランチャイズ移転を阻止しました。財政難は選手補強にも影響し、期待された若手ゴーリー、パトリック・ラリームは短期間でチームを離れ、他チームでスター選手となりました。2000年後半、オーナー兼殿堂入り選手だったルミューが現役復帰するという驚きのニュースがホッケー界を賑わせ、彼はチームを2001年のプレイオフ（イースタン・カンファレンス決勝でニュージャージー・デビルスに敗退）に導きます。しかし、更なる経費削減が必要となり、2001年夏にはエースのヤーガーを大幅な割引価格でワシントン・キャピタルズへトレードするという苦渋の決断を下します。ヤーガーを失った影響は大きく、チームは2002年に12年ぶりにプレイオフ進出を逃し、翌年にはファンに人気のあったアレクセイ・コヴァレフさえ放出し、チームは混乱が続きました。

2003年、チームは再建を目指します。NHLドラフト全体1位で期待のゴーリー、マルク＝アンドレ・フルーリーを獲得し、元選手のエディー・オルチックをヘッドコーチに据えました。財政的な制約からフルーリーとの契約交渉は難航しましたが、彼は期待に応える活躍を見せ、リーグ最低レベルの成績に苦しむチームの中で、屈指のセーブを連発しました。しかし、チームはトラブルが続き、ルミューも臀部の怪我に悩まされ、シーズン途中で欠場を余儀なくされました。その後もマルティン・ストラカの移籍、契約問題でフルーリーがジュニアチームでプレイするなど、チーム状況は安定しませんでした。

2004年夏には、ロックアウトの影響でアレクセイ・モロゾフがロシアリーグへ移籍しましたが、ファンの人気の高いマーク・レッキとは再契約を果たしました。2004-2005シーズンのロックアウト中、一部選手は下部組織のウィルクスバリ・ペンギンズで、モロゾフらはヨーロッパのリーグでプレイしました。

2005年のドラフトで、チームは再び歴史的な指名を行います。ウェイン・グレツキーやマリオ・ルミューの後継者と目されるシドニー・クロスビーを全体1位で獲得したのです。クロスビーはデビュー直後から活躍し、アレキサンダー・オベチキンと新人王を争いました。翌年にはリーグ得点王となり、チームを2001年以来6年ぶりのプレイオフ進出に導きました（第1ステージ敗退）。

クロスビーが怪我に苦しむ中でも77得点を挙げる活躍を見せ、エフゲニー・マルキンも自身初の100得点を記録するなど飛躍したことで、2007-2008シーズンには地区優勝を達成します。プレイオフでは第2シードから勝ち上がり、スタンレーカップ決勝に進出しましたが、デトロイト・レッドウィングスに2勝4敗で敗れました。しかし、翌シーズンは主力流出の懸念がありながらも、マルキンが得点王、クロスビーが100得点超えを達成し、第4シードでプレイオフへ。決勝ではレッドウィングスと2年連続で対戦し、今度はペンギンズが4勝3敗で勝利。スタンレーカップを獲得し、リベンジを果たしました。

その後、ペンギンズはクロスビー、マルキン、フルーリーらを核として強豪であり続け、2015-2016シーズン、2016-2017シーズンとスタンレーカップ連覇を達成。2010年代後半にも黄金時代を築き、NHL史における強豪チームの一つとしての地位を確固たるものにしました。

スタンレーカップ戦績

スタンレーカップ優勝

1990-1991
1991-1992
2008-2009
2015-2016
2016-2017

ウェールズ・トロフィー獲得

1990-1991
1991-1992
2007-2008
2008-2009
2015-2016
* 2016-2017

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