ピットカーン

ピットカーンは、輝かしい競走成績を残した父ペティンゴと、ヨークシャーオークスで好成績を収めた母Border Bountyを両親にもつ、アイルランド出身のサラブレッドです。父ペティンゴは、サセックスステークスなど数々の重賞競走を制し、種牡馬としても1979年に英愛リーディングサイアーを獲得するなど、その名を歴史に刻んでいます。さらに、7代連続でリーディングサイアーの座を保持した名門血統に連なる名馬でした。一方、母Border Bountyも優秀な競走馬であり、ピットカーンの全兄弟には、日本で最優秀古馬牝馬の父となるヴァリィフォージュも含まれています。

ピットカーン自身は、2歳時にミドルパークステークスやシャンペンステークスで2着に入るなど、早くからその才能の片鱗を見せていました。3歳になると、ハンガーフォードステークス、ブルーリバンドトライアルステークス、グッドウッドマイルとG3競走を3勝し、アイリッシュ2000ギニーとチャンピオンステークスでは2着と、常に上位に食い込む活躍を見せます。しかしながら、G1レースでの勝利には届かず、惜しくもあと一歩のところで優勝を逃し続けていました。

競走馬としてはG1制覇には届きませんでしたが、種牡馬としてピットカーンは真価を発揮します。種牡馬入り後すぐに、後の英愛リーディングサイアーとなるエラマナムーを輩出。エラマナムーは、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークスやエクリプスステークスといった、ヨーロッパの最高峰競走を制覇するなど、父ピットカーン以上の活躍を見せました。この活躍によりピットカーンは、英愛リーディングサイアーの栄冠に輝きます。

その後、ピットカーンは日本へ輸出され、1979年から種牡馬としての活動を開始しました。日本でもその繁殖能力は高く評価され、毎年60頭以上の牝馬を集め、中央競馬の重賞競走で4頭の勝ち馬を輩出しました。産駒には、ステイヤーズステークスを制したカネクロシオや、エプソムカップと中山牝馬ステークスを制したソウシンホウジュなどがいます。1988年には、日本総合サイアーランキングで43位にランクインするなど、日本競馬にも貢献しました。1995年に種牡馬を引退した後も、日本軽種馬協会那須種馬場で余生を送り、2004年12月3日に同所で亡くなりました。

ピットカーンの血統は、競走馬としての能力だけでなく、優れた繁殖能力をも受け継いでおり、その遺伝子は現代の競走馬にも受け継がれています。数々の名馬を輩出したピットカーンは、競走馬、種牡馬として、そして血統という形で、競馬史に大きな足跡を残した偉大なサラブレッドと言えるでしょう。彼の功績は、単なる競走成績だけにとどまらず、後世に繋がる数々の名馬を生み出した点にもあると言えるでしょう。 ピットカーンは、競走馬としての栄光だけでなく、種牡馬としての偉大な功績により、競馬界に不滅の足跡を残したと言えるでしょう。

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