ピツィカート・ポルカ

『ピツィカート・ポルカ』は、ヨハン・シュトラウス2世と弟ヨーゼフ・シュトラウスが共同で作曲したポルカです。作品番号は付与されておらず、演奏時間は約3分と比較的短い楽曲です。この曲は、弦楽器のピチカート（指で弦を弾く奏法）のみで演奏されるという特徴を持ち、そのユーモラスな響きが魅力です。

作曲は1869年の夏、シュトラウス兄弟がロシア旅行中に、サンクトペテルブルクでピアノ連弾をした際に生まれたという説や、パヴロフスク駅舎での仕事中に作曲されたという説があります。いずれにしても、作曲場所はロシア国内であることは確かです。

初演は1869年6月24日に行われ、大成功を収めましたが、その後しばらく演奏される機会がありませんでした。しかし、同年7月6日に再演されると好評を博し、その後合計7回演奏されました。なお、ヨハン・シュトラウス2世は23年後の1892年に『新ピツィカート・ポルカ』を作曲しています。

『ピツィカート・ポルカ』は、名前の通り、弦楽器のピチカート奏法のみで演奏されるユーモラスな曲想が特徴で、中間部のトリオでは鉄琴が加わります。この曲では、これらの楽器以外の楽器は使用されません。

また、このポルカには、よく演奏される伝統的な通常版とは別に、1869年夏に兄弟によって作曲された当初の形である原典版が存在します。原典版では打楽器が加わっており、2012年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートで、史上初めてこの原典版が演奏されました。

『ピツィカート・ポルカ』は、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートにおいて、『美しく青きドナウ』や『ラデツキー行進曲』に次いで3番目に登場回数が多い人気曲です。アンコール曲としてほぼ毎年演奏されています。

この楽曲は、様々なメディアでも使用されています。例えば、テレビアニメ『今日からマ王!』の第2話では吹奏楽版が使用され、テレビドラマ『正義の味方』やCMなどでも流れることがあります。

参考文献としては、以下のものがあげられます。

『美しく青きドナウ～ワルツ・ポルカ・行進曲集（マゼール指揮）』解説書『ピチカート・ポルカ』
若宮由美「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2012 会員の中村哲郎さんがNHK放送にゲスト出演！ニューイヤーを語る 曲目解説」より、〈ピチカート・ポルカ〉

さらに、この楽曲の楽譜は、国際楽譜ライブラリープロジェクトにて公開されています。

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