ピャチナ (行政区画)

ピャチナ（ロシア語: пятина）は、1775年までロシアのノヴゴロド圏で使用されていた行政区画です。その起源は15世紀のノヴゴロド公国に遡り、公国滅亡後もモスクワ大公国、そしてその後継国家において行政単位として存続しました。

「ピャチナ」という名称は、ロシア語で「5」を意味する「пять / ピャチ」に由来し、実際に5つの区画が存在しました。各ピャチナは、いくつかのウエズド（郡）から構成され、さらにウエズドはポゴストやヴォロスチと呼ばれるより小さな単位に分割されていました。

ピャチナの境界を地図上に初めてまとめたのは、19世紀初頭のA.レルベルグです。その後、19世紀半ばのK.ネヴォリン、20世紀初頭のA.アンドリヤシェフらが、ポゴストや村々を詳細に書き加えた復元地図を作成しました。これにより、当時の行政区画の具体的な範囲が明らかになりました。

以下に、5つのピャチナの詳細を示します。

ヴォトスカヤ・ピャチナ(ru)：ラドガ湖周辺に位置し、北西部は現在のフィンランドの一部を含んでいました。東側ではヴォルホフ川がオドネジスカヤ・ピャチナとの境界線となり、南西側ではルーガ川がシェロンスカヤ・ピャチナとの境界線を形成していました。イリメニ湖とラドガ湖を結ぶヴォルホフ川が重要な水路でした。

オドネジスカヤ・ピャチナ(ru)：オネガ湖周辺に広がり、西側はヴォドスカヤ・ピャチナと接し、北側は白海まで達していました。この地域は、湖が多く、広大な森林地帯を含んでいました。

ベジェツカヤ・ピャチナ(ru)：ムスタ川の東側に位置し、北西部はオドネジスカヤ・ピャチナと接していました。内陸部に位置し、農業や林業が盛んであったと考えられます。

デレフスカヤ・ピャチナ(ru)：ムスタ川の西側、ロヴァチ川の東側に位置していました。ロヴァチ川を挟んでシェロンスカヤ・ピャチナと接しており、河川が境界線を形成する地域でした。

* シェロンスカヤ・ピャチナ(ru)：ロヴァチ川の西側、ルーガ川の南側に広がり、シェロニ川(ru)流域を含んでいました。西側はフィンランド湾に達していました。ルーガ川を挟んでヴォトスカヤ・ピャチナと隣接しており、水運を利用した交易が盛んだった可能性があります。

これらのピャチナは、当時のノヴゴロド地域の行政、経済、社会構造を理解する上で重要な情報源となります。各ピャチナの境界は、自然の地形や河川を基にして定められており、それぞれの地域特性を反映していました。ピャチナの区分は、18世紀まで使用され、その後の行政区画にも影響を与えたと考えられています。

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