ヴォルホフ川

ヴォルホフ川は、ロシア北西部のノヴゴロド州とレニングラード州を南北に流れる、全長224kmの河川です。イリメニ湖から流れ出し、ヨーロッパ最大の湖であるラドガ湖へと注ぎ込みます。ラドガ湖に流れ込む河川の中では、スヴィリ川に次いで2番目に大きな支流です。

地理的特徴

ヴォルホフ川は、その全域で航行が可能です。流量はイリメニ湖の水位に左右されますが、ラドガ湖の河口付近では平均580 m³/sを記録します。最大時には2,900 m³/s、最小時には44 m³/sとなることもあります。かつては、勾配が緩やかなため、上流の雨量不足と下流の増水が重なり、流れが逆流する現象も見られました。

河川は通常11月末に凍結し、4月初めに氷が解けます。ヴォルホフ川の水位は、現在では河口から25km地点に位置するヴォルホフ水力発電所のダムによって調整されています。このダムは、ソビエト連邦が最初に建設した水力発電用ダムであり、1926年に完成しました。水力発電のほか、急流だった下流域を航行可能にする役割も担っています。

ヴォルホフ川は、上流でシヴェルソフ運河を通じてムスタ川と繋がっています。また下流では、新ラドガ運河を通じてネヴァ川、シャシ川、スヴィリ川と接続されています。

支流と流域の都市

主な支流としては、以下の河川が挙げられます。

ヴィシェラ川（右支流）
ケレスト川（左支流）
オスクヤ川（右支流）
プチェズワ川（右支流）
ティゴダ川（左支流）
チョルナヤ川（右支流）
ヴロヤ川（左支流）
オロムナ川（左支流）

流域の主要都市には、ノヴゴロド、キーリシ、ヴォルホフ、ノヴァヤ・ラドガなどがあります。

歴史的意義

ヴォルホフ川は、比較的短い川でありながら、ロシアの歴史と経済において重要な役割を果たしてきました。サンクトペテルブルクの旧証券取引所の建物にある海戦記念柱には、ロシアを代表する四大河川としてヴォルガ川、ドニエプル川、ネヴァ川と共にその名が刻まれています。

9世紀には、ヴァイキングたちが支配するルーシ・ハーン国の南北交易路として利用され、多くの船が行き交いました。スカンジナビアとオリエントを結ぶ重要なルートの一部であり、「ヴァリャーグからギリシアへの道」やヴォルガ川を経由してカスピ海やペルシャへと至るルートの一部を担っていました。

古代ルーシの最初の都であるスターラヤ・ラドガはヴォルホフ川下流に、中世ロシアの主要都市ヴェリーキイ・ノーヴゴロドはヴォルホフ川上流に位置していました。これらの都市は、ヴォルホフ川を通じて交易や文化の中心地として発展しました。

ヴァイキングの商船は、ラドガ湖からヴォルホフ川に入り、スターラヤ・ラドガを拠点として交易を行いました。ヴォルホフ川下流の急流地帯には、彼らの航行を守る要塞化された居留地が点在していました。現在のノヴゴロドの近くには、ホロピイ・ゴロドクという交易拠点も設けられていました。

ヴォルホフ川は、その地理的な特性と歴史的な背景から、ロシアの発展に大きく貢献した河川と言えるでしょう。

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