ピヤシリ山

ピヤシリ山は、北海道北東部、名寄市・下川町・雄武町の境にそびえる標高987.1mの山です。北見山地に属し、飛鏃岳という表記も用いられる、なだらかな山容が特徴です。南西側には整備された林道と登山道が通っており、容易に山頂へ到達することができます。

しかし、山頂から東へ約1kmの地点には、名称のない991mの峰が存在し、ピヤシリ山よりも標高が高いという興味深い特徴があります。山頂付近にはピヤシリ湿原が広がり、北へ4kmほど離れた場所には松山湿原が広がっています。これらの湿原は、日本最北の高層湿原として知られており、数多くの希少な植物が生息する貴重な自然環境です。多様な植物群落を観察できることから、植物学者や自然愛好家にとって魅力的な場所となっています。

ピヤシリ山の西麓には、標高674mの九度山があります。この九度山の南斜面には、名寄ピヤシリスキー場が設けられています。北海道有数の豪雪地帯に位置するこのスキー場は、質の高いパウダースノーで知られており、国内外から多くのスキー客が訪れます。スキー場内には、100m級のスキージャンプ台であるピヤシリシャンツェもあり、毎年12月には名寄ピヤシリジャンプ大会と吉田杯ジャンプ大会が開催され、国内ジャンプ競技のシーズン開幕を告げる重要な大会として注目を集めています。

山名の由来については、アイヌ語研究者の山田秀三氏による考察があります。氏は「ピィエシㇼ（piye-sir）」というアイヌ語が語源ではないかと推測しています。この語は「石」と「山」を意味する言葉と解釈されており、ピヤシリ山の地質や地形と関連づけて考えられているようです。しかし、確実な語源は未だ解明されていません。

ピヤシリ山とその周辺地域は、豊かな自然と活気あふれるウィンタースポーツが調和した魅力的な場所です。登山、植物観察、スキー、ジャンプ競技など、さまざまな楽しみ方ができるこのエリアは、北海道の自然と文化を体験したい人々にとって最適な目的地となっています。今後の研究により、山名の由来や、この地域に息づく自然や文化の解明がさらに進むことが期待されます。

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