松山湿原

松山湿原の魅力と自然環境



松山湿原(まつやましつげん)は、北海道上川総合振興局管内、美深町に位置する美しい湿原です。別名びふか松山湿原とも呼ばれ、標高797メートルにあり、面積は約25ヘクタールに及びます。この湿原は、日本最北の高層湿原として知られ、1975年には自然環境保全地域に指定されました。また、南方向に位置するピヤシリ湿原と共に、日本の重要湿地500の一つとして認識されています。

位置とアクセス


松山湿原は、北緯44度29分59秒、東経142度35分55秒という位置にあります。アクセスは便利で、宗谷本線美深駅から北海道道49号美深雄武線を利用し、仁宇布・松山峠方面へ30キロ弱進むことで到達できます。入山は一般的に6月中旬から10月中旬まで可能で、駐車場も整備されています。しかし、松山湿原へは公共交通機関が直接に訪れることは難しく、近隣の仁宇布地区までの名士バスを利用する必要があります。

植生の多様性


松山湿原の特徴は、この地域に生息する高山性植物の多様性です。湿原内では、コケ植物だけでも15種、シダ植物20種、双子葉植物139種、単子葉植物22種、さらにはラン科植物が3種確認されています。特に注目される種には、ワタミズゴケ、イソツツジ、ショウジョウバカマ、ミツバオウレン、ミネハリイなどがあり、これらの植物が美しい風景を作り出しています。さらに、矮性アカエゾマツやハイマツがこの地域に広がり、特異な植生環境を形成しています。

湿原の湖沼


湿原内には幾つかの美しい湖沼が点在しています。天竜沼を起点として、片道約900メートルの登山道を進むことができ、えぞ松沼、はい松沼、つつじ沼の三つの沼を楽しむことができます。湖沼周辺では、ゴゼンタチバナやサンカヨウなどの植生も観察でき、美しい自然の中でのハイキングや散策が楽しめます。トンボ類が多く生息していることも、この湿原の魅力の一つです。

観光地としての魅力


松山湿原は美深町の主要な観光資源のひとつであり、秘境としての顔を持っています。観光客が少ないため、自然そのものを感じられる静かな時間が流れ、都会の喧騒から離れた体験ができます。美深町周辺にはトロッコ王国美深や高広の滝など、他にも魅力的な観光スポットが存在しています。

歴史的背景と現状


松山湿原の入口近くには、廃止された国鉄美幸線の終着駅であった仁宇布駅があります。この路線は、営業係数が悪く廃止されましたが、美幸線存続運動の中で地元の町長が「秘境松山湿原へ」と呼びかけていた歴史があります。現在では、美幸線の代替バスが仁宇布まで運行されているものの、その先の交通手段は限られています。

このように松山湿原は、自然環境、豊かな生態系、そして秘境としてのロマンを兼ね備えた場所であり、訪れる人々にとって特別な体験を提供しています。

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