ピルスバリー (駆逐艦)

USS Pillsbury (DD-227)

USS Pillsbury (DD-227)は、アメリカ海軍のクレムソン級駆逐艦の一隻であり、南北戦争や米西戦争で活躍した流速計の改良に貢献したジョン・E・ピルスバリーにちなんで名付けられました。ピルスバリーは、1942年3月2日にバリ島南部の海戦で失われ、全乗組員が戦死しました。この艦は、第二次世界大戦においてアメリカ海軍の重要な水上艦艇の一つとして称えられています。

艦歴

ピルスバリーは、1919年10月23日にフィラデルフィアのウィリアム・クランプ・アンド・サンズで建造が始まり、1920年8月3日にヘレン・ラングドン・リチャードソン夫人の手により進水しました。その後、艦長H・W・バーネス中佐の指揮下で1920年12月15日に正式に就役しました。就役後は、1922年にアジア艦隊に配備され、その後長い間極東地域での任務に従事しましたが、1941年10月までの行動の詳細は不明です。

1941年10月16日、ピルスバリーはマニラ湾内で同僚艦のピアリー (USS Peary, DD-226) と衝突し、カヴィテの海軍工廠で修理を行いました。しかし、その修理中に1941年12月7日の真珠湾攻撃の報を聞くことになります。アジア艦隊の主要艦艇は避難行動を取ったものの、修理中のピルスバリーはそれに参加できませんでした。

1941年12月10日には、カヴィテの施設が空襲を受け、ピルスバリーは被弾を免れましたが、ピアリーは被弾しました。12月26日には、マニラが無防備都市として宣言され、ピルスバリーはロックウェル少将の指示によりマニラを脱出しました。その後、バリクパパンに到着し、他の艦艇とともにスラバヤで対潜哨戒などを行っていました。

1942年2月4日、ピルスバリーは第58駆逐部隊に加わり、バドゥン海峡を哨戒しました。2月18日夜には、連合軍艦隊が日本軍の侵攻を迎撃するため出撃し、ピルスバリーも他の艦艇と共に戦闘に参加しました。しかし、ピルスバリーは魚雷を発射しましたが、命中には至りませんでした。海戦後、ピルスバリーは損傷した同艦を助けに向かい、チラチャップに後退します。

チラチャップでは、連合軍の艦船がオーストラリアやインドへと退却する準備を整えていました。3月1日、全艦船に脱出命令が下され、ピルスバリーは他の艦艇と共に出港しました。

1942年3月2日、バリ島からの飛行機が敵駆逐艦を発見したとの報告を受け、ピルスバリーはその艦影であったと思われますが、実際には日本の重巡洋艦に遭遇し、戦闘が始まります。ピルスバリーは反撃を試みますが、最終的には激しい砲撃を受けて沈没しました。艦長や乗組員は全て戦死し、ピルスバリーの最期についてアメリカ側が認知したのは戦後になってからでした。

ピルスバリーはその戦功により、第二次世界大戦中に2個の従軍星章を授与されました。

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