ピンク・フロイドの道

ピンク・フロイドの初期を彩る万華鏡『ピンク・フロイドの道』

1971年にリリースされた『ピンク・フロイドの道』は、ピンク・フロイドの初期の軌跡を辿るコンピレーション・アルバムです。この作品は、単なるベスト盤という枠を超え、彼らの実験精神とサイケデリックな音楽性を凝縮した、まさに万華鏡のような魅力を放っています。

収録されている楽曲は、初期のアルバムである『夜明けの口笛吹き』、『神秘』、『モア』からのセレクションに加え、アルバム未収録の貴重なシングル曲「アーノルド・レーン」や「シー・エミリー・プレイ」などが含まれています。これらの楽曲は、シド・バレット在籍時のピンク・フロイドの音楽的な方向性を示すものであり、彼の才能がバンドに与えた影響の大きさを改めて感じさせます。

特に注目すべきは、「夢に消えるジュリア」と「ユージン、斧に気をつけろ」のスタジオ・ヴァージョンが収録されている点でしょう。「ユージン、斧に気をつけろ」は、通常、アルバム『ウマグマ』に収録されているライブ・ヴァージョンで知られていますが、このアルバムでは、1968年にシングルB面として発表された貴重なスタジオ版を聴くことができます。このスタジオ版は、ライブ版とは異なり、より繊細で実験的なサウンドが特徴です。

アルバム全体を覆うのは、サイケデリックで実験的なサウンドです。シド・バレット時代の楽曲に多く見られる、幻想的でトリッピーな雰囲気は、聴く者を別世界へと誘います。また、ニック・メイスンによるアルバム・ジャケットのイラストも、その音楽性を視覚的に表現しており、アルバムの世界観をより一層深めています。ジャケットは「楽器の城」のような不思議なイラストで、再発CD版では、そのイラストを基にした模型が使用されています。

『ピンク・フロイドの道』は、イギリスでは最高位32位を記録しました。1971年のピンク・フロイド初来日の際には、来日記念盤として「夢に消えるジュリア」が日本でのみシングルカットされるなど、日本においても特別な意味を持つ作品です。

このアルバムは、ピンク・フロイドの初期の音楽を探求する上で、非常に重要な作品と言えるでしょう。彼らの音楽的な進化の過程を辿りながら、シド・バレットの才能と、その後のピンク・フロイドの音楽性に与えた影響を感じ取ることができるでしょう。

収録曲

1. アーノルド・レーン - Arnold Layne (Barrett)
2. 星空のドライブ - Interstellar Overdrive (Barrett, Waters, Wright, Mason)
3. シー・エミリー・プレイ - See Emily Play (Barrett)
4. 追想 - Remember A Day (Wright)
5. 絵の具箱 - Paint Box (Wright)
6. 夢に消えるジュリア - Julia Dream (Waters)
7. ユージン、斧に気をつけろ - Careful With That Axe, Eugene (Waters, Wright, Mason, Gilmour)
8. サイラス・マイナー - Cirrus Minor (Waters)
9. ナイルの歌 - The Nile Song (Waters)
10. バイディング・マイ・タイム - Biding My Time (Waters)
11. バイク - Bike (Barrett)

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